福井の農園内に菜園レストランがオープン…ミシュラン一つ星の料理店と農業会社ワトムがタッグ

1品目を味わう場所となるレ・クゥの農業ハウス。食用花やハーブの香りに包まれ、五感で食事を楽しめる=福井県福井市白方町

 農業の合同会社、ワトム(福井県福井市、佐々木済社長)は飲食事業に乗り出す。同市白方町の農園内に5月2日、菜園レストランを開店。取れたての野菜を五感で味わってもらうコンセプトを売りに、収益の確保や商品輸送時の環境負荷削減などを図る。

 同社は2008年創業。約1ヘクタールの農園でミディトマトやメロンを主力に、食用花や西洋野菜など約160種類の栽培を手がける。販路は主に首都圏の高級レストランで、輸送時の鮮度低下や、長距離輸送による環境への負荷、品種が多く旬を逃すなどの非効率性が長年の課題だった。

 新鮮な農作物の本来の味を楽しんでもらい、環境に優しい農業を貫こうと、創業15年を機に飲食事業への進出を決断。取引先の一つだった福井市のミシュラン一つ星フランス料理店「Les Queues(レ・クゥ)」と手を組み、農場内に店舗を移転する形でオープンした。木造平屋建て約87平方メートルを1棟新築。客席数は12席。ビニールハウス4棟などを含め、農地のおよそ4割をレストラン向けのスペースとした。

 ランチ、ディナーとも予約制。客全員が食用花やハーブが育つ農業ハウス内に集合し、花の香りを楽しみながら1品目を味わう。「視覚、嗅覚など五感が刺激された状態だと、食べ物がよりおいしく感じられる」と品川勉専務。その後レストランへ移動し、10品程度を味わってもらう。

 メニューはシェフがその日の農産物の収穫状況を見て決定するため、収穫できずに旬を逃す作物の減少が期待できる。肉や魚、卵などの食材も県産にこだわり、食器やカトラリーもほとんどが県内で製造されたものを使用するという。

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 品川専務は「畑から直接食卓へという理念で持続可能な社会を目指しつつ、人が集まる拠点としていきたい。ゆくゆくは宿泊機能を付加し、オーベルジュにも挑戦したい」と話している。

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 ランチ(6千円)は午前11時半から午後2時、ディナー(1万1500円)は午後6時から同9時。予約はレ・クゥのホームページから。

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