親が外国籍など外国にルーツを持つ高校生が増加していることを受け、県教委は本年度、県立高で日本語指導に当たる支援員を新たに配置する。対象生徒が多い県北、県央、県南の各1校に支援員を常駐させ、生徒の授業や学校生活をサポートするほか、地区内の別の学校も訪問する。日本語指導を卒業の履修単位に認定できる国の新制度などについては、教育関係者らでつくる協議会を立ち上げ、県内での導入の可否を検討する。
外国人労働者や留学生らの増加に伴い、県内でも日本語指導を必要とする生徒数が年々増加している。文部科学省の2021年度調査では49人で、08年の4人から10倍以上に増えた。
一方で指導者の人材不足などで全国的に支援は追い付いておらず、こうした生徒の高校中退率や非正規雇用率は日本人生徒に比べて高く、大学などへの進学率は低いとされている。
授業や学校生活を支えるため県教委が配置する支援員は、日本語指導のノウハウがある人や、生徒の母語に精通した人を充てる。常駐校以外でも地区内の学校を回り、各生徒の事情に合わせた支援に当たってもらう。
また、生徒が指導を受けやすい環境づくりの一環として同省は本年度から、高校での日本語指導の時間を授業と見なし、卒業の履修単位として認められるよう制度を改正した。
小中学校では既に「特別の教育課程」と位置付けられ、授業として組み込むことが可能だが、高校では認められていなかった。県教委は有識者らによる協議会を新設し、日本語指導が必要な生徒の支援の在り方とともに、この制度についても議論してもらう。24年度以降に県内で導入するかどうかを検討する方針。
県教委は22年度の県立高入試から、問題文の漢字に振り仮名を付けるなどの「特別な配慮」も導入している。県教委高校教育課は「支援を必要とする生徒は、今後も増えるはず。生徒や学校を支援できるよう、国の動きを注視して臨機応変に対応したい」としている。