「泣き声を押し殺す子には特に注意を」 虐待経験の女性、警官向け講演会で助言

実父と継母から虐待を受けた経験を語る島田さん(京都市山科区・山科署)

 警察官が子どもの虐待を察知する能力を養うため、山科署は、過去に虐待された経験を持つ一般財団法人「児童虐待防止機構オレンジCAPO」の島田妙子理事長(51)=大阪府島本町=を招き、署員向けの講演を開いた。

 京都市によると、2021年度に市の児童相談所が虐待と認定した2170件のうち、相談・通告の経路は「警察等」が最多の58.8%を占めた。警察官の的確な判断力をさらに向上させるため同署が企画し、120人が耳を傾けた。

 島田さんは、小中学生時代に実父と継母から激しい暴力を受けた。近隣住民が警察に通報したこともあったが、警察官は父の話だけを聞き、島田さんの目を見てくれないと感じて打ち明けられず、虐待は見過ごされたという。

 過去の経験から島田さんは「虐待を受けていた頃は大人を信用できず、感情を抑えて無表情だった。泣き声を押し殺そうとする子には特に気をつけて」とアドバイスし、「親に対しては何があっても暴力はNGだとをはっきり言うべき」と訴えた。

 島田さんの虐待が察知されたのは中学2年の時で、「お父さんと再婚相手を助けてあげよう」と話しかけてくれた担任教諭の言葉に、「自分が本心を言えば親も助かると思い、先生に話すことができた」という。結果、島田さんは児童養護施設に保護されたといい、「子どもが本音を言える場所をつくることが大切」と話した。

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