小山のNPO法人、遊水地保全で総理大臣表彰 外来種除去や生物調査評価

外来魚駆除を目的とした「おさかなワイワイ大作戦」。中央で網を手にする青木理事長=2019年6月

 【小山】下生井に事務局を置き、渡良瀬遊水地の保全・再生などに取り組むNPO法人わたらせ未来基金(青木章彦(あおきあきひこ)理事長)は、外来植物の除去や小中学生対象の生物調査会開催といった活動が評価され、今年の緑化推進運動功労者内閣総理大臣表彰を受けた。今回は全国から個人1人と12団体が選ばれ、本県からは同基金が唯一の受賞となった。

 同基金はラムサール条約に登録された渡良瀬遊水地を保全・再生させ、自然と調和した持続可能な社会システムを構築することを目的に2001年に設立された。青木理事長(65)は「受賞は大変ありがたい。自分たちだけでなく、一緒に取り組んできた皆さんと受賞したものと思っている」と感謝する。

 会員は市内や遊水地周辺自治体の住民など約60人。市民、学校、企業、行政と連携し、セイタカアワダチソウなどの外来種の除去、ヨシ刈りによる湿地保全活動を長年続けている。

 遊水地の自然環境を学ぶ観察ツアーや、小中学生対象の生物調査会開催を通じた環境保全の意識醸成にも努めている。

 渡良瀬川上流域の、足尾に緑を育てる会(日光市)とも連携し、刈ったヨシからできた腐茎土を足尾の土作りに活用したり、足尾の山のドングリを遊水地で苗に育て、再び山に植樹したりする活動にも取り組んでいる。

 設立当初は、遊水地を40年後にコウノトリが、100年後にトキが生息する環境にすることを目標に掲げていたが、既に今年まで4年連続でコウノトリのひなのふ化が確認されている。

 青木理事長は「トキが生息できる環境もきっとできると信じ、これからも活動を続けたい」と力を込める。

 

外来植物の除去に取り組む、わたらせ未来基金の会員ら=2013年5月
遊水地保全に対する思いを語る青木理事長
遊水地保全に対する思いを語る青木理事長

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