五月病の治し方は…うつ病との違い 頭痛や下痢の症状も、精神科医が勧める対応

「一人で抱え込まないで、信頼できる人に相談して」と呼びかける竹内大輔医師=福井県福井市の福井病院

 新年度が始まって1カ月。進学や就職、異動、新たな人間関係など、春から環境が大きく変わった人は、ゴールデンウイーク(GW)明けのこの時期、疲れやストレスが重なって精神的な不調に陥ったり、体調を崩したりしやすい。いわゆる「五月病」。福井病院(福井県福井市)の精神科医長の竹内大輔医師は「孤独にならないことが大事。一人で抱え込まないで」と呼びかける。

 「五月病」という病名はなく、医学的には適応障害という。環境の変化に最初は頑張って適応しようとするが、性格や価値観が合わなかったり、期待していたことと違ったりしたといったストレスによって、精神的に不安定になると発症する。「半年でなる人もいるし1週間でなる人もいる」(竹内医師)。希望通りの進学や昇進などによる環境の変化であっても発症することがある。症状はやる気が出ない、不安感がある、肩こり、頭痛、下痢など、個人によってさまざま。うつ病の症状と似ているが、適応障害はストレスの原因を取り除けば改善に向かうという点でうつ病とは大きく違う。

 症状がある場合は「信頼できる人に相談してほしい。他人に話すだけでも心が楽になる」と竹内医師。一人で抱え込み、より悪い思考になってしまうのが一番よくないと訴える。症状が改善しない場合は無理をせずに休養を取るか、心療内科などを受診する。治療はカウンセリングがメイン。根本的な治療薬はなく、薬は眠れない人に少量の睡眠薬を処方するなど一時的な対症療法で使う場合がある。

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 また、ストレスの原因を取り除けば改善に向かうため、元の環境に戻してもらえるように会社に相談してみるといい。竹内医師は「最近は理解のある会社も増えている。必要であれば診断書を書くなどサポートする」と話す。

 五月病を防ぐためには周囲の人の対応も重要。竹内医師は「日ごろからコミュニケーションをとり、安心感を得られるような場所にすることが大事。孤独と感じさせないようにしてあげてほしい」と呼びかけていた。

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