水素化コンバージョンに進化した太陽光パネル…脱炭素社会へ期待の最新技術

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「フラトピ!」のコーナーでは、世界最大級の“新エネルギー総合展”をキャスターの田中陽南が取材しました。

◆運送業界の大きな課題、CO2排出を軽減する期待の新技術

2050年のカーボンニュートラルを目指し、再生可能エネルギーへの転換が急務となるなか、エネルギーに関わる国内外約1,200の企業が参加した世界最大級の新エネルギーの総合展「スマートエネルギーWeek」(春展:3月15日(水)~3月17日(木))が開催。そこで今回、田中はその舞台となった東京ビッグサイトへ。

注目のエネルギー分野のイベントとあって、会場内には多くの人が集まるなか、一際話題となっていたのが、i Labo株式会社が開発した新技術。

それはCO2を出さない次世代エネルギーとして期待される"水素”を活用するための技術で、トラックのディーゼルエンジンの部品を変えるだけで水素エンジンに改造する「水素化コンバージョン」です。

運送業界ではCO2の排出量削減が大きな課題となっていますが、全てのトラックをクリーンエネルギーに変えるのは、膨大なコストがかかり困難。しかし、i Laboが開発したこの技術を用いることで、既存のトラックを水素で走らせることが可能。同社では少しでも早く、1台でも多くトラックを水素化したいと望みます。

◆昨今話題の太陽光パネルもあらゆる部分で進化

続いては、昨今注目が集まる太陽光パネルに関する新技術。太陽光パネルは花粉や火山灰、鳥のフンなどの汚れや積雪などの影響で発電収益が最大35%もダウンしてしまう可能性があります。

しかし、リセット・カンパニー株式会社はそうした問題点を自動車のワイパーのように自動でクリーニングしてくれるロボットを開発することで解決。現在は事業用のみですが、家庭用や低圧のロボットも開発中だそうです。

また、太陽光パネルは東京都が2025年から新築住宅などへの設置を義務化するなど拡大が進んでいますが、大きな課題もあります。それは"廃棄”の問題で、発電シートとガラス部分が一体化しているためリサイクルするのが難しく、一般的には砕かれ、埋め立て処理に回っています。

そうした課題を最新技術で解決しようと奮闘しているのが、株式会社浜田。そこでは発電シートとガラス部分の間にある接着剤を300℃に熱したナイフで溶かして切り離し、ガラス部分はガラスとして、発電シートの部分は銀や銅の貴金属として再利用しています。

◆今後、再生可能エネルギーを促進していくためには…

「スマートエネルギーWeek」を取材した田中は、会場内の盛り上がりに新エネルギーへの注目度の高さをまざまざと感じたと振り返ります。

環境問題に取り組むFridays For Future Tokyoオーガナイザーの黒部睦さんは、その様子を見て「再エネが進む上で、こうしたリサイクルの仕組みなどが普及していくのは大事」と声を大にして訴えます。

黒部さんによると、再生可能エネルギーのポテンシャルは現在の7倍あると省庁が発表しているそうで、今やるべきこととして挙げたのは実践。「もう技術もある、素晴らしい開発がされているので、それを実行していくフェーズにある」と言い、「実行した上でリサイクルなどの仕組みが整えば、再エネに対しての疑問なども改善され、普及が加速していくと思うので、今後も注目し応援していきたい」と期待を寄せます。

とはいえ、最新技術の普及には時間がかかり、今回取材した企業からは「まだこれからの段階」という声があったことを田中が触れると、「すでにある技術を導入していくなかで、新たに出てきた課題は新しい技術で解決していくことが重要」と黒部さん。さらに「欧州などはもっと進んでいると思うので、そうしたところを参考に進んでいくことが気候変動というタイムリミットのある課題に対しては大事。進めるところをどんどん力を入れてほしい」と力を込めます。

株式会社ABABA代表の久保駿貴さんは、最新エネルギーが製造過程における水の問題などさまざまな課題を抱えているのが現状とあって「トータル的にどれだけCO2の排出が抑えられるのか。いつどれだけプラスになるのかも見ていく必要がある」と注意を促します。

さらに、食文化研究家で株式会社食の会 代表取締役の長内あや愛さんは「こうして企業が進め、技術もあるのに、それを誰が決定するのか。いかに個々人が関わり、選択していくのか」と懸念。

キャスターの堀潤は、日本における最新エネルギー関連のさらなる問題点に言及。日本は技術開発・運用はできているものの「事業体のガバナンスの問題や事業体と地域とのコミュニケーションのまずさが再生可能エネルギーの分野では目立ってしまう」と案じます。

そして、「費用のあり方などがもっとクリーンになっていくことで、ようやく多くの人たちが納得して使えるエネルギーになると思う」と堀。既存の原子力も含め、全てを企業に任せるのではなく「我々も積極的に知って、関わっていく必要がある」と話していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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