G7長崎保健相会合 経済効果は…肩透かし 警備万全も市民と距離

市街地にはG7保健相会合をPRする懸垂幕が掲げられているが…=長崎市浜町、浜市アーケード

 長崎県初の政府系国際会議となる先進7カ国(G7)保健相会合。開催地の長崎市では、地域の魅力を海外に発信する好機として、官民一体で歓迎ムードを高めようとしてきた。ところが、警備に万全を期す政府は会合の詳細な情報を直前まで明かさず、市民が身近に感じる場面は少ない。地域経済への波及効果も見えず、盛り上がりに欠ける状況を「肩透かし」と残念がる声もある。
 国は要人警護などを理由に、同会合の具体的な予定を事前に公表していない。参加者が市内の観光地や平和関連施設を訪れたり、歴史文化に直接触れたりする機会を設けるかも不明。地元からは「参加者と市民が触れ合う場面をつくれない」との嘆きも聞こえる。
 市民の関心には濃淡があるようだ。当日通行規制される「出島メッセ長崎」周辺で事前警戒する警察官らを見た60代男性は「世界の保健課題をしっかり議論してほしい」。一方、同じ場所にいた40代女性は「ニュースで知っているけれど、あまり興味はない」とそっけない。
 もともと同会合は多数の一般市民を呼び込むイベントではない。厚生労働省によると、サイドイベントや展示も出島メッセ長崎内でほぼ完結し、海外メディアは来ない。参加人数は「関係者の定義がなく、カウントしていない」という。
 各国政府関係者ら高所得層の参加者が街の飲食店に繰り出すことはあるのか。ある料亭の経営者は「G7に伴う予約はない」とこぼす。市中心部の地場大手ホテルの総支配人は「期待外れ」と本音を漏らし、今後は「参加者が連泊してくれるような」大規模MICE(コンベンション)の誘致を望んだ。
 一方、官民でつくるG7長崎保健大臣会合推進協議会は「ノウハウを蓄積することで、MICE都市として次の誘致につながる」と開催の意義を強調。同協議会長の大石賢吾知事は「(各国関係者が)観光して見て回る機会は少ないかもしれない。ただ、それぞれが見たものを(母国で)発信する機会は多いと思う。長崎の魅力を世界に発信してもらいたい」と期待を寄せた。

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