Jリーガー最低身長でも絶賛活躍中!大分の“小さな巨人”MF中川寛斗の実力とは

身長が低くてもJリーグで活躍できる!身長“155センチ”とJリーグ選手の中で最低身長ながら、J2で際立った活躍を見せるJリーガーがいる。

大分トリニータMF中川寛斗は、14試合4得点とJ1復帰を狙うチームの中で輝きを放っている。

現在直近2試合で3得点(第15節終了時点)と爆発中だ。大分の小さな巨人の実力に迫った。

柏レイソル下部組織育ち、曺貴裁サッカーで頭角を現す

サッカーどころで有名なさいたま市浦和区出身の中川は、幼稚園生のころにサッカーキャリアを開始。

小学4年次にパスサッカーに力を入れる育成の名門柏レイソルの下部組織へ入団。中村航輔、秋野央樹、小林祐介、木村裕、金竜滉と後にJリーガーとなる同期たちとともに汗を流した。

だが小学6年次の身長は130センチを下回るほどと、かなりの低身長だった。

身長を伸ばすための医療的な処置を受けることもできたが、プロになって同じ悩みを抱える子供たちの希望となるために、医療に頼ることはなかったという。

その後、抜群の判断の良さとマークをはがすポジショニングとオフザボールの動きを駆使したクレバーなスタイルで、世代別代表にも選出されるようになった。

高校最終学年では日本クラブユースサッカー選手権(U-18)でチーム史上初制覇に導き、天皇杯千葉県予選ではチャンピオンに輝いた。

天皇杯2回戦ではJリーグ史上初となるトップチームと下部組織の対決を実現させるなど、司令塔として注目を浴びた。

トップチーム昇格を果たすも、低身長を理由に湘南ベルマーレへ期限付き移籍を強いられた。だがここで出会った曺貴裁(チョウ・ギジェ)監督指導の下、運動量を強化した。

インテリジェンスの高さと、スプリントの量と質も向上。身長に頼らないプレースタイルを身に着け、柏復帰後もコンスタントに活躍した。

2019年に期限付き移籍で湘南へ復帰し、2020年には同クラブへ完全移籍。

2021年には恩師曺監督が指揮を執る京都サンガF.C.へ移籍し、2022年から柏時代に指導を受けた下平隆宏監督率いる大分へ完全移籍した。

判断の良さ、巧みなオフザボール、そして効率化された運動量

中川の強みは圧倒的な運動量に基づいた平均走行距離の長さと量と質を担保したスプリントにある。

決して無駄走りをせず、さまざまな局面に合わせて強度や速度を考えながらジョギング、ランニング、スプリントを効果的に使い分けている。

さらにいえば、攻守の切り替えに素早く対応できる賢さも光る。

先を読みながらポジショニングを調整し、敵と味方の位置を把握しながら相手の嫌な位置へと顔を出す。

トランジションが切り替わった瞬間、「なぜそこにいる!?」といったようなポジショニングとオフザボールの動き出しは、柏のパスサッカーで鍛えた賜物だろう。

そして今季はシュート精度の高さが際立っている。中川の決めた4得点の内3得点はワンタッチシュート。

今季初ゴールとなったいわき戦

金沢戦での決勝ゴール

上記の2ゴールを見ると、オフザボールの駆け引きで身体的接触を避けながら急所に顔を出してゴールを決めている。

身長差のディスアドバンテージを物ともしないクレバーなスタイルは、まさにアサシン(暗殺者)スタイルと言ってもいいだろう。

相手の意識の外から確実に点を取る小さなアサシンは、柏の下部組織で育んだ賢さと湘南で鍛え上げた走力の下で成り立っている。

下平サッカーの下で得点能力が覚醒しつつある中川は、大分のJ1復帰へのピースになりつつある。

サッカー少年たちの希望に

中学サッカー、高校サッカーを取材していて、低身長に苦しむ選手を多く見てきた。

その中で中川を参考にしている選手は複数人いた。

身長が小さくても走力とインテリジェンスを駆使したスタイルは、彼らにとって大きな希望になっている。

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今後中川が活躍して露出を増やすことで、低身長に苦しむ多くの選手たちの手本になるだろう。今後も大分の小さな巨人の活躍を注目していきたい。

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