太平洋地域を巡る米中覇権争い最前線…当事国では非常にシビアな駆け引きも

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。4月28日(金)放送の「New global」のコーナーでは、太平洋島しょ国を巡る米中覇権争いに着目しました。

◆米大統領がパプアニューギニア初訪問、その背景は!?

アメリカのバイデン大統領が5月22日に太平洋島しょ国のパプアニューギニアを訪問することがわかりました。現職のアメリカ大統領によるパプアニューギニア訪問は初で、今回バイデン大統領は首都・ポートモレスビーで太平洋島しょ国の十数人の首脳らと会談する見通しです。太平洋地域では中国が影響力を強めており、この訪問は中国に対抗していく狙いがあると見られています。

このニュースにあたって、キャスターの堀潤は「太平洋島しょ国は中国とアメリカにとって非常に重要な地域」と指摘しつつ、太平洋地域の近年の状況、ここに至る経緯を解説します。

まず、パプアニューギニアは今年1月、台湾にある商務代表処を封鎖。これに対し、"ひとつの中国”と打ち出している中国共産党政権は、パプアニューギニアが台湾をひとつの地域・国として認めていないと捉え歓迎します。

一方、太平洋地域ではパプアニューギニアを含む自由主義諸国などで設けられたアライアンス「太平洋諸島フォーラム」が存在します。これには日本も大きく関わっていますが、昨年その枠組みからキリバスが離脱を表明。その背景には中国が手引きしたのではないかと言われ、自由主義諸国は離脱を引き止めるべくさまざまな交渉を開始。その結果、今年1月にキリバスの再加盟が発表されましたが、そこにはアメリカなどが交渉に携わったのではないかという話もあるといいます。

そうしたなか、太平洋諸島フォーラムに加盟するソロモン諸島は中国との安保協定を締結。オーストラリアはパプアニューギニアに安保協定の締結を提案するなど、各地でさまざまな駆け引きが行われています。パプアニューギニアに関して、堀は「非常にタフな交渉をしている」と説明。

というのも、パプアニューギニアは債務がある中国には債務の延長を投げかけ、西側の自由主義諸国には支援の強化を求めるなど、米中を天秤にかけているから。仮にこの地域に軍事拠点が設けられるとなると「米中両国にとって影響は大きい」と堀は懸念します。

オーストラリアに夫と子ども2人が暮らしているというエッセイストの小島慶子さんは「オーストラリアでもこのことはよくニュースになっている」と実感を語ります。

オーストラリアは中国と経済的な関係はとても強い一方で、軍事的・政治的には日本同様、アメリカとの同盟のなかにあり、さらに地理的に太平洋島しょ国や東南アジアに程近いこともあって、小島さんは「オーストラリアにとっても敏感な話題だと思う」と案じます。

株式会社ABABA代表の久保駿貴さんは、「中国とアメリカの何らかの火種にならなければいいなと常々思っているが、(互いに)牽制し合っている状況が続いていると思うので、両者が納得する方向に向かえば」と平和的な問題解決を切望していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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