アフターサミット見すえ 外国人向けのツアー 被爆電車で街を巡る

G7広島サミットの後、アフターサミットを見すえ、被爆電車で広島の街を巡る外国人向けのツアーの体験会がありました。再び増加しているインバウンドに広島の歴史を知ってもらう新たな取り組みです。

体験ツアーに参加したのは、大学で物理学の研究をしている、アメリカ人のニコラス・ベンワさん。

ツアーは、路面電車で回るものです。乗るのは、広島電鉄の “被爆電車” 、653号。78年前の広島を走っていた現存する被爆電車4両のうちの1両です。

ニコラス・ベンワさん
「これまでには見たことや聞いたことがない、とてもユニークな体験になるだろうと思っています」

ツアーは、広島の旅行会社が、アフターサミットを見すえ、外国人観光客向けに企画したもので、被爆電車で街をめぐりながら、広島の被爆と復興の歴史を学べるものとなっています。

ガイドと電車内の映像による説明は、全て英語。初の取り組みです。

来日して4年目のベンワさんは、広島の街が、どのように復興していったのか知りたいと思い、ツアーに参加しました。

被爆直後の街の状況はもちろん、市民が力を合わせて被爆から3日後には路面電車の一部の区間を復旧させたエピソードも、被爆した車両に乗って、当時の映像を見ながら聞くことができます。

ニコラス・ベンワさん
「古い写真だけでなく、窓の外では、新しくて現在のものが見られる。それがとてもいいと思う」

ツアーの後半は、平和公園に移動し、被爆者の証言を基につくられたVRの体験です。実際にVRで見られる映像です。

ゴーグルを着けると、目の前には原爆投下直前の広島の街が…。午前8時15分。街の人が指をさす上空を見上げると、爆撃機から1発の原子爆弾が投下…。直後、せん光があたりを包み、世界が一変します。

VR体験では、原爆投下の目標となった「相生橋」などを回り、被爆当時の広島の姿と今の姿を見て、復興の歴史と未来への歩みを体感してもらう狙いがあるということです。

ニコラス・ベンワさん
「とても複雑な感情です。平和と広島のメッセージを伝える、とてもいいツアーだと感じました。このような過去の状況は繰り返すべきではないですし、このようなツアーに参加し、体験することで本当に感情が豊かになると思います」

このツアーは、G7サミットの後、22日からのモニターツアーを経て、8月と10月に本格的に実施される予定だということです。

© 株式会社中国放送