三重・桑名の伝統行事「上げ馬神事」は動物虐待? 維新議員が参院農林水産委員会で農相に指摘「国が指導を」

 武者姿の若者が馬に乗って急坂を駆け上がる三重県桑名市の多度大社の「上げ馬神事」について、「馬への虐待に当たる」との批判が高まり、国会でも取り上げられた。今月行われた神事では1頭が骨折したため安楽死となっており、日本維新の会の串田誠一氏(参院全国比例、県連所属)は16日の参院農林水産委員会で「事故が起きるのは誰が見ても分かる。国が指導してほしい」と求めた。

 この神事は地元の若者が騎手となり、急坂がある約200メートルの馬場を疾走して高さ約2メートルの土壁を駆け上がる伝統行事。壁を越えられた回数で農作物の豊凶などを占う。南北朝時代から700年にわたり続いてきたとされ、三重県無形民俗文化財に指定されている。

 新型コロナ禍のため4年ぶりの開催となった今月4、5日の神事では元競走馬のサラブレッド1頭が足を骨折して安楽死となったことが報じられた。

 壁を乗り越えられずに逆さまに転倒した馬や、足を骨折した馬の様子がSNSで拡散されて批判の声が上がっていることを踏まえ、串田氏は「完全に動物愛護法に反する行為」と指摘したが、野村哲郎農水相は「個別の伝統行事の内容をコメントすることは難しい」と述べるにとどめた。

 神事を巡っては、三重県教育委員会は氏子組織などに対して動物虐待や動物愛護の精神に反する行為を根絶するよう勧告し、馬の適正な取り扱いを求めている。

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