北陸電力、一般家庭2548円増 値上げ幅平均39%に圧縮

  ●6月1日から

 北陸電力は16日、家庭向けを中心とする電気料金(オール電化を除く)について、平均39.7%の値上げを国に再申請したと発表した。当初は45.8%の値上げを申請していたが、圧縮された。国の認可を経て6月1日から実施する見通し。一般的な家庭(月使用量230キロワット時)は現行より2548円高い8396円となる。物価高騰に苦しむ家計にとってはさらなる負担増となる。

 値上げの対象は、国の審査が必要な「規制料金」と呼ばれるメニューの契約者で、家庭向け電力の契約件数110万件のうち、50万件を占める。北電が規制料金を値上げするのは1980年以来となる。

 家庭向けのほか、商店や小規模工場向けのメニューもあり、それぞれの値上げ率は37~41%となる。

 北電の電気料金は現在、国の緩和策などによって抑制されており、一般家庭の6月分の支払いは、8748円から1962円安い6786円となる見込みだ。ただ、緩和策が11月以降に継続されるかは未定で、国の補助が終了すれば、負担が増すことになる。

 北電は燃料費高騰などを理由に昨年11月、国に4月からの値上げを申請していた。昨年度の決算で884億円の赤字を計上し、経営の立て直しが急務だったが、岸田文雄首相が指示した審査の厳格化で値上げ時期が先送りとなっていた。

 規制料金の値上げによる収支改善効果は年168億円。値上げ幅の圧縮によって当初申請の年184億から縮小した。長高英常務執行役員営業本部長は記者会見で「査定幅はとても厳しいが、引き続き業務の効率化に努める」と話した。

 同社は今年4月にオール電化世帯と企業向けの電気料金を値上げしている。

  ●値上げ後も料金申請7社で最安

 政府は16日、物価問題に関する関係閣僚会議を開いた。大手電力7社による家庭向けなどの規制料金の値上げ幅を確定させる査定方針を固め、各社が即日、査定に基づいた値上げ幅を再申請した。

 北電の値上げ率は沖縄電力の43.4%に次いで高くなったが、同日の閣議後会見で西村康稔経済産業相は「北陸電力は、値上げ後も申請7社の中で最も安い電気料金となっている」と述べた。再申請は近く、経産相が認可する。

 値上げするのは北陸、沖縄のほか、北海道、東北、東京、中国、四国の各電力。

 政府が16日午前に示した標準的な家庭の値上げ率は、電気の使用量などを各社同じ条件で試算したもので、14~42%としていた。政府は値上げ申請前と値上げ後の6月の比較で42%の値上げとしたが、北電は今年4月と6月を比べると41%の値上げになると説明している。

  ●新田知事「県民に丁寧な説明を」

 富山県の新田八朗知事は16日、政府が北陸電力の電気料金値上げを了承したことについて「北電は県民に対し、値上げの理由や経営状況、今後の効率化の取り組みなどを丁寧に説明し、コスト低減に最大限努力してほしい」と求める談話を出した。

 北電に対しては、燃料価格が落ち着き、収益状況が改善した際には、料金の引き下げなどで還元するよう訴えた。政府には、電気・ガス価格激変緩和対策事業の期間延長も含め、適時適切な対策を呼び掛けた。

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