「リーガルウエディング」誘致へ 長崎・佐世保市 海外誘客、経済効果に期待

九十九島をバックにした写真撮影なども提案するリーガルウエディング(佐世保観光コンベンション協会提供)

 長崎県佐世保市は訪日客需要の回復を見据え、外国人が日本で正式な婚姻手続きをする「リーガルウエディング」の誘致に向けて実証実験を始める。近年、香港を中心に海外で広がっている結婚式の形。2023年度は香港のカップルを招いて課題を抽出し、24年度の開始に向けてブラッシュアップしていく。
 リーガルウエディングは、来日して結婚式を挙げる海外のカップルが、日本の法に基づいて結婚すること。カップルが日本の市役所や役場に婚姻届を出すことで、婚姻届受理証明書を受け取ることができる。
 市によると香港では、海外で式を挙げることがステータスになっている。日本で発行された婚姻届受理証明書が香港で婚姻の正式書類として扱われ、帰国してからの手続きが省かれる利点がある。香港は総面積が狭く、ウエディングを演出できるロケーションが少ないこともリーガルウエディングに拍車をかけている。
 受け入れ側にとっては経済効果が大きい。外国人カップルは来日して、挙式や写真撮影を実施。一般の観光時の宿泊施設や飲食、交通にとどまらず、ウエディングドレスやメーク、写真などの分野にも広がる。他都市でも受け入れが進み、沖縄県では19年に225組が挙式をした。福岡市や京都府舞鶴市、北海道小樽市なども実績があるという。
 佐世保市は23年度、香港からモニターとして1組のカップルを招く計画。非日常を求める香港人に、ハウステンボスや九十九島の景観が好まれるとみて挙式や写真撮影の場所として提案する。婚姻届の提出までを行程に含め3、4泊の日程を想定している。「結婚という人生の節目に訪れた場所は記憶に残り、再訪につながりやすい。誘致の実績を増やしていきたい」と市観光課。カップルのニーズに対応できるような受け入れ態勢を整えていく。

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