長崎県内最大の線刻仏など拓本で紹介 石造物研究家・大石氏が収集 大村市歴史資料館 6月4日まで

高さ約3.5メートルの「仏岩三社大明神線刻石仏」の拓本=大村市歴史資料館

 長崎県大村市の福重地区に残る中世の石仏や、萱瀬地区のキリシタン墓碑などについて調べている同市の石造物研究家、大石一久氏が長年集めてきた拓本25点を紹介する企画展が同市東本町の市歴史資料館で開催。県内最大の線刻仏の拓本もあり、訪れる人の目を引いている。
 拓本とは、石に刻まれた字や模様などを紙に写し取ったもの。風化により一見分かりづらくなった石の模様も、上から紙を当てて墨を乗せることで浮かび上がらせることができる。今回は大石氏が同館に寄贈した資料を展示した。
 目玉は同市武留路町にある「仏岩三社大明神線刻石仏」の拓本。高さ約3.5メートルと線刻仏(岩石に線を刻み描いた仏像)としては県内最大で、迫力がある。詳しい成立時期は不明だが、鎌倉時代以降と考えられている。
 「上八龍の線刻仏」「弥勒寺線刻不動明王像石仏」など、鎌倉~室町時代に作られたとみられる福重地区の石仏群の拓本も並ぶ。キリシタン大名・大村純忠の時代に大村領内の寺社は破壊されており、石仏群は貴重なものという。
 このほか、「田下のキリシタン様式墓碑」や、本経寺の大村藩主大村家墓所にある墓碑の拓本も展示。大石氏のインタビューも掲示している。
 同館の山下和秀学芸員は「現地に行かないと分からないものを原寸大で体感できる、拓本の魅力を感じてほしい」としている。6月4日まで。

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