行方不明の高齢男性保護、1時間かけ京都から兵庫の自宅まで送り届ける 京都・福知山の男性に感謝状

感謝状を受け取る原田宏通さん=15日、篠山署

 兵庫県丹波篠山市内の自宅を車で出た後、行方不明になっていた80代男性を京都府福知山市で保護し、自宅まで送り届けたとして、同県警篠山署は、同市の会社役員、原田宏通さん(59)に署長感謝状を贈った。

 原田さんは4月13日昼、福知山市内の物流拠点で仕事中に、敷地内に迷い込んだ男性を保護。顔の擦り傷を手当てし、水を渡した。男性は自分が丹波篠山市にいると思っており、「どうやって来たか分からない」「車が動かない」と疲れて困惑した様子。付近の道路脇に車が止まっていた。

 実は男性は約30キロ離れた丹波篠山市内の在住。同市内での用事のため12日朝に車で家を出たまま行方が分からなくなり、家族や篠山署が必死に捜していた。

 そうとは知らずに、「家は近く」と話す男性に「私の車で送ります」と応じた原田さん。言われた住所をカーナビで調べ、初めて丹波篠山市をほぼ縦断する必要があると分かったが、そのまま1時間かけ男性を送り届けた。

 原田さんは「捜索されている人と知らずに送っただけ」と謙遜。男性の妻が男性を抱きしめて再会を喜んでいたといい、「僕の方が温かい気持ちにしてもらった」と振り返る。賞状を手渡した山本隆美署長は「放っていたら命の危険があった。非常に行動力があり、感謝している」とたたえた。(那谷享平)

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