18年前のいじめで文書不開示「隠蔽との指摘仕方ない」 神戸市教委 隠蔽否定から一転、不適切な対応認める

神戸市教育委員会=神戸市中央区東川崎町1

 18年前に神戸市立小学校で当時5年だった男性(28)が暴力などのいじめを受けた問題を調査した第三者委員会が今月11日、市教育委員会の「隠蔽」姿勢を指摘する報告書をまとめたことについて、市教委は19日の市会委員会で「隠蔽したと指摘されても仕方ない不適切な対応だった」との見解を示した。報告書提出を受けた11日の会見では「故意に隠蔽したとは判断できない」と反論していた。

 市会の教育こども委員会で、市教委の高田純事務局長兼教育次長が答弁した。

 11日提出の第三者委の報告書は、いじめを認めた民事裁判の事実認定を支持。さらに市教委が昨年まで、被害者への聞き取り文書が「ない」と答えてきたことについて「(聞き取りの)資料の秘匿という違法行為を隠蔽するために虚偽答弁を重ね、非常に悪質」と批判した。一方、市教委はいじめは事実認定したが、隠蔽の意図は否定した。

 19日の委員会で市教委は、「虚偽答弁を重ねた」との報告書の指摘についても「重く受け止める」と答弁。姿勢を変えた理由について、委員会後の取材に「(11日の)会見の段階では報告書を十分に精査できていなかった」と説明した。

 また被害男性と父親が長田淳教育長らとの面談を求めていることについて、長田教育長は19日の委員会で「お会いしておわびする用意はあるが、まずは児童生徒課の担当者がお会いさせていただきたい」と述べた。(大橋凜太郎、井沢泰斗)

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