福井県無形民俗文化財の坂井市の「三国祭」が5月19日開幕し、夜の山車巡行「宵山車(よいやま)」が行われた。提灯の明かりで人形山車が闇夜に浮かび上がり、中日(20日)と一味違った巡行が、祭りの幕開けを飾った。
宵山車は中日の前夜祭として、三国祭保存振興会青年部会が昨年から始めた。当番区ではない年にも各区から曳き手を募ることで、技術を継承する狙いがある。今回は昨年の倍近い距離を巡行した。
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午後7時ごろ、日が沈むや露店が並ぶ三國神社前を、保存振興会の山車「釣鐘弁慶(つりがねべんけい)」が出発。そろいの法被を着た同青年部会や、各区ごとに違う柄の法被を着た青年団約60人が曳き手でそろい踏み。初香会の若手メンバーが「よーいやまー」とお囃子を響かせ、高張り提灯の灯(ともしび)に先導されながら、山車は悠々と旧市街を練った。
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2年目とあって「宵山車は初めて」との見物客らも多く、路地を練る山車の後に大勢の人だかりができていた。三国町内の84歳女性は「みんなで祭りを盛り上げようという雰囲気を感じる。素晴らしかった」と喜び、町内に親戚のいる大阪府大阪市の55歳男性は「提灯に照らされ、歴史ある街を山車が練るのは風情を感じた」と語った。
三国祭は21日まで。20日には6基が正午までに三國神社前に勢ぞろいし、午後1時から旧市街地を練り歩く。