G7首脳 宮島・厳島神社を参拝 「核兵器・ウクライナにどう応える」

青山高治 キャスター
G7各国の首脳は宮島を訪問しています。厳島神社を参拝中です。このあとは集合写真の予定、そしてワーキングディナー「セッション3」が予定されています。現在は、関係者の方から宮島の厳島神社について説明を受けているということですが、太田さん、このあとのセッション3、重要なテーマがいろいろと並んでいます。

共同通信社 編集委員・論説委員 太田昌克 さん
そうですね。おそらく核軍縮不拡散に関する声明が出てくると思うんです。広島宣言と名するかどうか、ちょっとまだ定かではありませんけれども。大切なことは、ずっと人類の歴史っていうのは戦争の時代だったわけですよ。1945年8月15日まではね。日本の歴史、さっき源平合戦の話をしましたけど、ここ瀬戸内も実は戦場で、人の生き死にの場だったわけなんですよね。そういった歴史のね、文化の何ていうのかな、吐息というかな。まだ、この瀬戸内海で死に切れていない方がいらっしゃると。そういった死者の声に耳を澄まして、歴史をしっかりとふかんしたうえでわたしたちが目指すべき人類としてのビジョンはどこなのか。核というものに依存しながら本当にわれわれの未来の安全が持続可能性を持って担保できるのか。

人間は、間違えるんですね。キューバ危機もそうであった。核が使われそうであった。そして今、キューバ危機以来、かつてないレベルで核戦争、核の交戦の危険性が迫っている。これもまた事実なんですね。そういった人類の歴史をしっかり見極めながら、もちろん文化を知るっていうことも大事なんだけど、やっぱりこのG7のよさ、こういった首脳外交のよさは、力を持った首脳たちが自分たちのビジョン・哲学・思想をぶつけ合って、そして人類のためにより明るくて、希望に満ちた平和な未来を切り開いていくこと。それがきょう、岸田さん、これからますます役割が問われることだと思いますね。

青山高治 キャスター
いくつかのテーマのうちの1つとして核が話し合われることもあったんですが、今回は核がメインに来ていると。

共同通信社 編集委員・論説委員 太田昌克 さん
そうですね。こうやって1セッションでしっかり議論するっていうことは、これまでのG7のプロセスではなかったというふうに日本外務省の幹部からは聞いておりますので、やっぱり岸田さんが自分のある意味、覚悟と決意を持って、きょう、どういう声明を出してくるか。

そして、原爆資料館の視察ですよ。わたし、本来はこれを市民のみなさんに覆い隠すんじゃなくて、さっき、原田元原爆資料館長とも少しお話したんですけど、何で隠すんだって、おっしゃっていた。わたしたちが知りたいのは、この人たちが見たもの、感じたこと。そこを聞きたいんだ。人間として原爆のあってはならない、この人間的悲惨さにどう向き合っているのか。そういうメッセージをやっぱり聞きたいんですよ。

それは、広島・長崎市民のみならず、唯一の戦争被爆国といわれるわたしたちの、韓国の方も多くの方が国籍関係なく傷づいているんだけども、やっぱり被爆国といわれるわれわれ日本の市民が知る権利があると思うし、それを岸田さんが岸田さんの言葉で、せめて、首脳たちの考え方・感想・感慨、それから向かうべき方向性をしっかり国民に対しても説明するべきだと思います。

青山高治 キャスター
今は大鳥居を前に笑顔で記念撮影をしましたG7各国の首脳ですが、本当に午前中の平和公園を訪問したときには原爆資料館を出てきたときの表情なども注目されましたもんね。

共同通信社 編集委員・論説委員 太田昌克 さん
そうですね。たいへん、みなさん、神妙な顔をされていたしね、やっぱり思うところがあったと思うんですよ。被爆者の 小倉桂子 さんと対話をされて、何を感じ取ったか。そして、この宮島をながめる。日本の歴史、ある意味、この戦争の歴史っていうものを知ることによって、日本・アジア・世界でもう二度と戦争を起こしてはいけないんだ、そのためにはどうしたらいいんだっていう外交の知恵をめぐらすっていうことがなにより大事なんですよね。まさにこの9人ですかね、EU(ヨーロッパ連合)の委員長・議長を入れまして、そこが問われていると思うんですね。

中根夕希 キャスター
そしてまた今回のサミットできょう、まさに入ってきた大きなニュースの1つにウクライナのゼレンスキー大統領が広島に、対面でこのサミットに参加されるということですが?

共同通信社 編集委員・論説委員 太田昌克 さん
ゼレンスキー大統領にとってもたいへんな覚悟と決意を要したと思うんです。なぜなら今、最高指揮官。戦争が起きている。これから反転攻勢をやろうとしている。もう始まっているかもしれませんけどもね。そして、バフムトを中心にロシアとの
消耗戦がずっと長期化している。両方とも推計によると20万人の死傷者がそれぞれ出ているんじゃないか、そういう推計もあるんです。今、この瞬間も自分たちの国民が命を亡くしているっていう、そういった中で広島をあえて訪れる意味ですよね。

おそらく、1つは、G7の結束。やはり支援疲れということが、戦争の長期化で、特にアメリカはこれから政治の季節に入りますから、今の与党の民主党よりも共和党の野党の方がより支援の度合いってのは少し低い。すなわち、よりアメリカの切実な自分たちの問題に取り組まなきゃいけないんじゃないかと。ウクライナにいつまで支援をしているんだっていうことは極めて少数派ながらも、そういう声が現にあるわけですね。

そういった中でゼレンスキーさんは、ここが勝負どころだと思って、G7に連帯・結束、さらに兵器を含めた支援の要請、復興もそうですけども来ているはずなので、その覚悟を持ってもらうと。気をつけなきゃいけないのは、これが軍事同盟になっちゃいかんという話なんです。戦争をするための同盟じゃないんです、G7というのは。やはり平和を築く、平和を構築していく同盟なんですよ。法の支配に根ざして。

もう1つ、大切なのは、ゼレンスキーさんがしっかりと原爆資料館、わたしはたぶんご覧になると思います。さきほど、休憩時間にウクライナの外交官からメールが来たもんですから、今、あなたの大統領があした、やって来るっていうことを聞いて、非常にわたし自身はうれしく思うし、ある意味、エキサイティングな気持ちだけども、ぜひ、あなたの大統領に原爆資料館に寄ってくれと言ってくれと。ぜひ、勧告してほしいっていうメールをさっそく送ったんですが、岸田さんが案内をして、ロシアの核使用のリスクが高まっている中、核の使用は絶対許されない、ウクライナを被爆地にしちゃいけない、長崎こそが最後の被爆地である、全ての核を否定するメッセージを出してほしいですね。

中根夕希 キャスター
あす20日到着され、21日にサミットに参加されるんですけれども、招待国も多々いる中での発言にもなると思いますが。

共同通信社 編集委員・論説委員 太田昌克 さん
ウクライナの戦争が始まって、もう1年3か月近くになる中で、国連総会、国際の平和と安全を本来は付託されている国連安保理が、ロシアがいるから機能しないわけですよ、戦争当事国が。そうなると、国連総会という場を中心に世界のメッセージを発していかなくてはいけない。

しかし、実はグローバルサウスと呼ばれている新興国と途上国にはロシアと近い国が少なからずあるんですね。だから、どうしてもロシアにそん度しているところはあると思うし、それぞれの国、インドなんか、中国と国境紛争を抱えている中でロシアは非常に重要なある意味、盟友なんですよね。国連安保理で拒否権を持っている国ですから。カシミール紛争をインドは持っていますから、パキスタンと。

そういったそれぞれの国益があるんだけれども、そこを何とか超克して、やはり、この戦争を早く終わらせなきゃいけないんだ。制裁を強めて、これ以上の戦争を続けると逆にロシアの国民は本当に傷ついていくんだ。だから早く戦争をやめてほしい。外交しなきゃいけないんだっていうことをインドやインドネシア・ベトナムを中心にそういったアウトリーチの国も一緒になってG7がメッセージ出していく必要があると思いますね。

青山高治 キャスター
これだけのメンバーが平和都市・広島に集まっていると、余計に強く感じますよね。

中根夕希 キャスター
だからこそ、進歩する何かがほしいなと思いますよね。

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