県高校総体前特集 バレーボール男子(1) 満ちあふれるチームの一体感が勝利を呼び込む大分工業 【大分県】

バレーボールの県高校総体が6月3日から始まる。男子は直近3年の大会では大分工業と大分南が覇権を争っている。今大会も2強に別府鶴見丘が追う展開となりそうだ。県高校総体を前に3校の戦力を探る。

第1回は県高校新人大会、全九州総合選手権県予選で優勝した大分工業。これまでとは異なるスタイルで頂点を目指す。

1月の県高校新人大会を前に江崎裕之監督が「今年のチームは面白いよ」と笑顔で語っていた。当時はその真相を知る由もなかったが、全九州総合選手権でその意図が分かった。絶対的なエース小野太聖(3年)は、身長183cmながら滞空時間の長い跳躍力から硬軟自在のスパイクで得点を量産する。後衛に回れば強烈なバックアタックで狙い通りのコースに打ち分ける。

小野がチームの核であることに間違いはないが、田中奏聖(同)らレシーバー陣がボールを落とさない。田中は「自分たちの持ち味は、足を動かし、粘って、拾って勝つ」と胸を張る。泥くさく聞こえるが、コート上ではち密に計算され尽くされている。相手のレシーブが上がった段階からセッターの位置、スパイカーの助走を見て対応するリードブロックで確実に飛ぶ。ワンタッチで勢いを削ぐことができればもうけもの、ブロックを抜かれても絶妙な位置取りでレシーブ陣が待ち構える。

落とさないバレーを目指す大分工業

どんな厳しいボールが飛んでも食らいつき、ボールを落とさないバレーを目指す大分工業。必死に仲間がつないだボールだからこそ、小野は「何枚ブロックがついても決める。それが自分の仕事」とエースの役割を果たす。信頼関係の上でチームが成り立つことを知っている江崎監督。的確に言語化し、ミスの原因や試合の流れを選手に伝えることもあるが、勝負どころではベンチにどっしりと構える。「リズムスポーツなので感情で試合の流れが動く。そこはコートに立つ選手に任せるしかない」。選手はそれを粋に感じ、必死に応える。

全九州総合選手権では九州の強豪校を相手に、自分たちのスタイルで真っ向勝負した。1勝1敗で予選リーグ敗退となったが、収穫と課題が明確になった。江崎監督は「現状を知ることができた。このレベルになると技術的なミスをしないチームばかり。ミスによる失点をなくしたい」と話す。

今年のチームは、素直で向上心を持ちながら練習に打ち込んでいる。「うまくなりたい思いが強いから、指導する側もそれに応えたくなる」と江崎監督。チーム一丸となって前向きな空気が満ちあふれている。見ている人が応援したくなるチームに近づきつつある。

チームにはポジティブな雰囲気が漂う

(柚野真也)

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