「妊婦でも体動かしたい、抱っこも体力必要」 神戸に産前産後のママ専門ジム、きっかけは常連の出産

大前拓さん(中央)の指導でサーキットトレーニングに取り組む女性たち=神戸市須磨区須磨本町2

 産前産後の母親の健康を支えようと、神戸市須磨区のトレーニングジムが、妊婦と乳児連れを対象にしたプログラムを実施している。常連の利用者の出産がきっかけで約2年前に設けた。約10人が週1、2回のペースで通い、体力を維持しながらママ同士の会話を楽しみ、気分転換になると好評だ。(内田尚典)

 須磨駅前から徒歩約5分のサーキットトレーニング専門ジム「suns(サンズ)」。国道から見えるガラス張りのスタジオで平日午前、女性がスクワットや腹筋、ダンベルなどの重りを使ったメニューに和気あいあいと取り組んでいた。1回45分。8通りのメニューを各35秒、3セット繰り返すうちに体が温まり、「暑っ」と声が上がる。

 「産前産後は運動したらだめと言われてきた一方で、体を動かしたいと思う人は多い。受け皿になりたい」。経営者でメイントレーナーの大前拓さん(53)が話す。「カンガルーサポート」と名付けたプログラムで、無理なく続けられるよう一人一人に合わせて体にかける負荷の強さを助言する。おなかが大きい妊婦には、あおむけの腹筋はやめて内股の筋肉に効くメニューにするなど工夫する。

 乳児が過ごすための囲いをスタジオ内に用意した。ベビーカーごと連れてこられるようにし、目を覚ましてむずかれば大前さん自らがあやす。「買い物などの用事で出かけるついでに気軽に寄ってもらい、普及を目指す」という。

 同市須磨区内の女性(33)は、もともと同ジムの利用者で、長女(2)の出産時に継続を希望した。今は生後9カ月の長男も連れて通い、「ずっと家にいると息が詰まる。腹筋など体形を整えたい」と話す。出産を控える別の女性は、「子どもを抱っこして動き回るにも体力が必要」と将来に備える。

 同ジムは2018年に開業。大前さんはバスケットボール選手を経てトレーニングを学び、甲南大など関西の3私立大で体育講師を務めながら運営する。

 「スポーツに本格的に取り組む人だけでなく、初心者も強度を調節して一緒に取り組める」と、サーキットトレーニングの利点を説明する。「新型コロナウイルス禍で在宅でもできるトレーニングに関心が高まった。育児中も含めて健康づくりの土台を広げたい」と話している。

 ビジター料金大人千円。同ジムTEL080.3788.1448

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