事業承継をきっかけにデジタル化 長崎で「アトツギカイギ」 事例を発表し共有

事業承継とデジタル化をテーマに情報交換した「アトツギカイギin長崎」=長崎市出島町、CO―DEJIMA

 事業承継をテーマにしたセミナー「アトツギカイギin長崎」が17日、長崎県長崎市であった。事業の継承を前にデジタル化やITツール導入に取り組む企業が事例を発表し、参加者と課題を共有した。
 アトツギカイギは、ソフトウエア開発会社「サイボウズ」(東京)が全国各地で開催。「事業承継がITツール導入のきっかけだった」という中小企業経営者の声が多かったことから、各地域の経営者が事業承継について情報交換したり、課題を共有したりするコミュニティー形成の場にしようと企画した。
 本県開催は初めて。県内中小企業のデジタル化支援に力を入れる十八親和銀行が協賛した。トークセッションでは、南翔クレーン(長崎市)の田原瑞紀専務が、事務作業効率化に向けて進めるアプリ開発について説明。「デジタルツールに慣れていない従業員への説明が課題」と指摘した。同社に伴走支援している十八親和銀行デジタル化推進部の横尾真樹調査役は「スモールスタートでも、徐々に慣れて効果を体感してもらうのが大切」と述べた。
 システム開発などを手がけるシースリープラス(長崎市)の鶴野嵩敬代表は、家業を事業承継した際にデジタル化を推し進めた経験を報告。「デジタル化は課題解決の手段であり目的ではない。自社の価値や課題を整理し、共有することが先決だ」と話した。

© 株式会社長崎新聞社