将棋名人戦 渡辺VS藤井、第3局指された大阪で「大盤解説」2000人熱狂 21、22日に福岡・飯塚で第4局

大盤解説会には数多くのファンが集まった=14日午後、大阪府高槻市、高槻城公園芸術文化劇場

 渡辺明名人(39)に藤井聡太六冠(20)=竜王、王位、叡王、棋王、王将、棋聖=が挑む第81期名人戦7番勝負第3局が大阪府高槻市で指され、第2局まで連敗を喫していた渡辺が1勝を返した。同市は「将棋のまち」を掲げ、関西将棋会館が来年大阪市から移転する。対局が行われた13、14日には大盤解説会も開かれ、延べ約2千人が訪れる盛況だった。(井原尚基)

 名人戦4連覇が懸かる渡辺に、谷川浩司十七世名人(神戸市)が持つ最年少名人記録(21歳2カ月)の更新を目指す藤井が挑む本シリーズ。第1局は定跡のない持久戦を、第2局は矢倉の戦いをいずれも藤井が制した。

 12日に同市で開かれた前夜祭は、関係者を含め150人が参加した。両対局者が登場すると大きな拍手が起き、渡辺は「皆さまに満足していただけるような将棋を2日間指したい」、藤井は「ファンの方々の期待に応えられるよう精いっぱい指したい」とそれぞれ決意表明した。

 対局と大盤解説会が開かれたのは今年3月にオープンしたばかりの高槻城公園芸術文化劇場。大盤解説会には、同市ゆかりの古森悠太五段や長沼洋八段、東和男八段のほか、立会人の久保利明九段(兵庫県加古川市出身)、副立会人を務めた出口若武六段(同県明石市出身)らが出演。対局2日目の14日は1500席がほぼ満席になるほどのにぎわいを見せた。

 対局は先手番の渡辺が矢倉、後手の藤井が雁木の陣形を組んだ。中盤、藤井がリードした局面もあったが、渡辺は的確に対応し、最後は勝ちを読み切って87手で藤井が投了した。

 渡辺は過去、藤井とタイトル戦で4回戦い、いずれも敗北している(表)。公式戦通算成績は渡辺の4勝に対して藤井は18勝。名人戦第3局は、渡辺が先手番の公式戦に限れば、12局目にして初めて渡辺が勝利した。

 終局後、渡辺は「第2局まで結果が出ていなかったので良かった」と述べ、21、22日に福岡県飯塚市で行われる第4局に向けて「間を置かずにすぐあるので、勢いをつけて頑張りたい」と意気込みを語った。

 藤井は「中終盤の読みが足りなかったので次局以降は修正できれば。(第4局が)すぐにあるので、いい状態で臨みたい」と語った。

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 名人戦7番勝負第4局の大盤解説会が22日午後4時から関西将棋会館(大阪市福島区)で開かれる。解説は桐山清澄九段と森本才跳四段、聞き手は石本さくら女流二段。事前申し込み不要、一般2千円、高校生以下など千円。同館道場TEL06.6451.0220

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