福井市の区民体育大会、少なくない今年も中止の地区 コロナ禍の中断で新しい形探る動きも

コロナ禍による中止を経て久々に開かれた旭区民体育大会=5月14日、福井県福井市旭小学校

 新型コロナウイルス禍で多くが中止を余儀なくされた区民体育大会(区民スポーツ祭)は今年、福井県福井市内49地区のうち38地区で開催を予定し、今週末に多くの地区で実施される。従来の形で再開する地区がある中、3年にわたる中断を経て新しい形でのスポーツ振興や地域交流を進める動きも。一方で、少子高齢化による担い手の減少などもあり、引き続き中止する地区も少なくない。

 市スポーツ課によると、2020、21年度には市内全49地区一律に春、秋ともに区民体育大会の中止を要請。22年度は感染状況に応じた地区ごとの中止要請に緩和したが、実施したのは清明、社南、一光の3地区にとどまり、清明はマラソン、社南はモルック大会のみ行った。

 今年は制限を設けない内容を2月中旬に市から通知。5月14日にいち早く実施された旭をはじめ春に30地区、秋に8地区が開催を予定している。清明は、未経験者も多い子どもたちの体力などを考慮し、午前中のみとして21日に開催予定。体育振興会の吉田直人会長は、開催への準備に苦労はあるとしながらも「コミュニケーションが生まれるいい機会」と前向きだった。市によると、ほかにも午前中のみとする地区は複数あるという。

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 3年近くの中断で従来の在り方を考え直した地区もある。湊は準備期間の短さや運営ノウハウが失われつつあることから、今年は希望者によるスティックリング大会を28日に計画。体育振興会の祝井知己会長は「来年以降は体育大会と並行し、ニュースポーツ大会として継続開催したい」とする。社北は複数のチェックポイントを制限時間内に巡る「ロゲイニング」を21日に開催。自治会の住民数の偏りなどを踏まえ、従来の形に戻すのは難しいと判断した。

 中止を決めたある地区は、1月ごろから始める準備時点では感染状況が見通せず、今年の開催を見送った。関係者は「地域交流は重要。ほかのイベントに注力したい」と話した。市スポーツ課は「中止を決めた地区の中には、担い手の確保が厳しいとの声も聞かれた。スポーツ振興、住民交流の重要な場であり、来年以降は全地区が開催できるよう、他地区の事例共有なども考えたい」としている。

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