青森県知事選4候補 序盤の訴え、どこに力点? 街頭演説から見る

街頭演説する(左から)宮下候補、横垣候補、小野寺候補

 21日に告示後初の日曜を迎えた知事選(6月4日投開票)は序盤戦から、各候補が街頭演説でどこに主張の力点を置いているか、違いが見えている。前むつ市長の宮下宗一郎氏(44)は政策に短く触れる一方で、青森県政改革への意気込みや理想のリーダー像を強く訴える。共産党籍を持つ元むつ市議の横垣成年氏(63)は原子力政策の転換や最低賃金引き上げなど同党の主張に沿った訴えを展開。前青森市長の小野寺晃彦氏(47)は雇用や農業産出額の数値目標を強調するなど政策の紹介に重きを置いている。

▼「新しい政治を」訴え/宮下候補

 宮下候補は21日、階上町の道の駅はしかみに集まった100人以上の聴衆と1人ずつ握手した後、「絆はどんな圧力にも屈しない。握手で一つ一つ重ねた絆が花咲くのが(投票日の)6月4日だ」と語り始めた。

 物価高や少子化対策、防災・減災など各分野の政策をコンパクトに説明。年金の話題では「国の話だと捨てておくことはできない。国にものを言えば、制度を変えられる可能性もある」と述べ、知事の発言力の重みを強調した。

 普段の演説は、政策よりも自身の思いや決意表明に時間を多く割く。三村申吾知事らが小野寺候補を支持していることから、自らの状況を「逆風が吹いている」とし、危機感を訴える場面も目立つ。「県民の悩みや希望を受け止め、政策に反映することが新しい選挙、政治の在り方」。県政の変革を求める有権者の心情に訴えかけている。

▼「国にもの言う知事に」/横垣候補

 21日午前11時、弘前市のショッピングモール・イオンタウン弘前樋の口。横垣候補は、原子力政策の転換や米軍基地問題など共産党の主張を取り上げながら「県民の暮らしを守るため、国にものを言える知事になる」と力を込めた。

 小野寺、宮下両氏を「自民党の枠内の候補」と位置付け差別化を図る。最低賃金の「全国一律時給1500円」の実現や増税阻止、「大軍拡」反対など共産党が主張する政策の浸透に演説の多くの時間を割く。

 三村申吾知事の5期20年の県政についても「自殺率、大腸がん死亡率、寿命の短さで全国ワーストの現状を解決しないといけない」と批判を展開する。

 共産党籍を持つが、広く支持を得るため無所属で出馬した。推薦を受ける共産、社民両党や市民団体「市民連合あおもり」の関係者が応援弁士を務め同様の訴えを繰り広げている。

▼「政策の戦い」前面に/小野寺候補

 「皆さんにぜひ、政策の話をさせてください」。21日、さくら野弘前店前で、小野寺候補は街頭演説をこう切り出した。経済、子育て、健康、生活と、政策集に盛りこんだ四つの柱ごとに主だった公約を紹介。「起業・創業400社」「農業産出額3500億円」など具体的な数値目標も織り交ぜていく。「思い切った経済対策を約束する」としてプレミアム付き商品券の発行を例示した。

 選挙戦を「政策の戦い」と位置づけ、これまでの街頭で「公約を一番大事にしている候補は私」と強調してきた。この日は、応援弁士の桜田宏弘前市長も「今回の知事選は政策の選挙、実行力の選挙だ」と呼応。小野寺候補は「皆さんに誠実に、公約を明確に示している候補は私だけ」と聴衆に賛同を求め、「抽象論やイメージでなく、具体的なものを届ける候補を選んでほしい」と呼びかけた。

▼「経済発展が一番大事」/楠田候補

 仙台市の元損害保険会社社員・楠田謙信候補(66)は告示日第一声などで「経済を発展させることが青森にとって一番大事」「若い人の働く場所をつくるのが政治の使命」と強調、養殖漁業の拡大など1次産業の振興策を前面に訴えている。

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