「風通しの良い市政」を掲げ、有権者の心をつかんだ。21日に投開票された兵庫県加西市長選、市議選。西村和平市長の引退表明を受け、無所属新人3人で争われた市長選は、元市教育長の高橋晴彦氏(65)=自民推薦=が手堅い組織戦を展開し、元市議の深田真史氏(38)、元副市長の河尻悟氏(47)を破り初当選を確実にした。投票率は前回を5.02ポイント下回る57.66%だった。
当選確実の知らせに、同市豊倉町の事務所は歓喜に沸いた。高橋氏は笑顔で支持者に感謝した。
昨年11月末、市長選立候補を表明した。「職員が市長に意見を言えず、疲弊している」。市総務部長や市教育長を歴任した身として、市政刷新の必要性を感じていた。
政策は是々非々の方針で臨んだ。子育て支援の無料化は継続・拡充。一方、市立加西病院については医師の確保を最優先課題とし、事業費が138億円に膨らんだ建て替えは再検討を掲げた。
選挙戦では連日、地元選出の国会議員、県会議員と街頭に立ち「国、県、市の3本の矢が一つになって課題に取り組む」と実行力をアピール。自民党の推薦に加えて地元出身の利を生かし、北条地区の住民や同級生、市職員時代の同僚らから強力な支援を受けた。
「市職員の能力を引き出し、風通しの良い市政を」。訴えが実り、高橋氏は「喜びに浸りたいが、先を見れば、学校や病院など喫緊で取り組まなければならない課題が山積している。重圧を感じているが、加西市の発展のために頑張りたい」と抱負を語った。(敏蔭潤子、小野萌海)