スパコン「富岳」2部門で7期連続世界一 他部門でも高順位、トップクラスの総合力維持 神戸

計算性能2分野で7期連続世界一となったスーパーコンピューター「富岳」=神戸市中央区港島南町7

 理化学研究所は22日、神戸・ポートアイランドの計算科学研究センター(神戸市中央区)で稼働中のスーパーコンピューター「富岳」の最新世界ランキングを発表した。2部門で7期連続の1位、その他の2部門ではそれぞれ2位、3位を記録。いずれの順位も前回の昨年11月から変わらず、各国が新たなスパコン開発でしのぎを削る中で、トップクラスの総合力を維持した。

 富岳はスパコン「京」の後継として2021年3月に本格稼働。気象予測や防災、医療、ものづくりなど多くの分野の研究に活用されている。ランキングは年2回発表され、今回はドイツ・ハンブルクで開催中の高性能計算技術に関する国際会議で明らかになった。

 富岳が1位を獲得したのは、ビッグデータ処理で重要となるグラフ解析の性能を競う「グラフ500」と、産業利用などの「HPCG」の2部門。特に、グラフ500では前回と比べて性能を約33%向上させたスコアを記録し、2位以下からさらにリードを広げた。HPCGも米国の「フロンティア」に約1.1倍の差をつけた。

 その他、計算速度ランキング「トップ500」で2位、人工知能(AI)の計算などで活用する「HPL-MxP」で3位となった。これら2部門の1位はいずれもフロンティアだった。

 理研の松岡聡・計算科学研究センター長は「富岳が多角的な指標で評価を受け続けていることは、幅広い分野での活用を目指した開発方針が正しく実現できたといえる」とコメントした。(勝浦美香)

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