「週休3日制」福井の介護施設でじわり 勤務時間を長くするか、休日増やすか…導入のメリット

週休3日制を選択した男性職員(左)。「心に余裕が生まれ、利用者と接することができている」と話す=5月17日、福井県大野市篠座の大野和光園

 福井県内の介護施設で、1日の勤務時間を長くする代わりに休日を増やす「週休3日制」が広がり始めている。介護業界が人手不足の課題を抱える中、多様な働き方を採り入れ、職員の採用、定着を図りたい考えだ。1日の勤務時間が延びることで、繁忙な時間帯に職員の配置を手厚くできるなど、サービス向上にもつながっている。

 特別養護老人ホーム大野和光園(大野市)は本年度から、「1日8時間・週5日勤務」か「1日10時間・週4日勤務」か、職員が働き方を選択できるようにした。契約職員も含め約200人の職員のうち、介護職員8人、ケアマネジャー1人の計9人が「週休3日制」を選択している。

 「週休3日」を選んだ介護職員の男性(21)は「休みが増えたことで仕事とプライベートのメリハリが付いて、仕事に対するモチベーションも上がった。(介護職以外の)友人とも休みに会いやすくなった」と話す。

⇒42%の男性パートナーは21時以降の帰宅…「家庭での戦力外化」に影響

 1日の勤務時間が2時間延びたことで、人手が必要な朝食や夕食の介助や片付けをサポートできるようにもなった。1日10時間の勤務時間は当初は体力面で心配だったというが「(8時間勤務に比べ)時間に余裕もできるので、スキルアップのための勉強にも充てられる」と前向きだ。

 1週間の労働時間は変わらず、賃金は同じ。和光園では3カ月ごとに職員に希望を聞き「週休3日」「週休2日」を選べるようにしている。清水啓司常務理事は「職員がゆとりをもって意欲的に働けることは、質の高い介護サービスにもつながる。今の若者は休日取得を重視して職業を選ぶ面もあり、人材確保の点でも訴えやすい」と話す。

 特別養護老人ホームあさくら苑(福井市)も本年度から週休3日制を導入。職員からは「休日が増えることでプライベートの時間を確保でき、リフレッシュできる」「(1日の勤務時間が延びたことで)入浴や食事介助など職員の数が必要な時間帯に配置することができた」といった好意的な声が聞かれるという。

 両施設とも2022年度、介護業界の魅力向上を図る県の事業でモデル事業所に採択され、社会保険労務士らの協力の下、週休3日を試行。本年度から本格導入に踏み切った。県は本年度も同様の事業を行い、2施設程度にコンサルタント経費を助成する。福井県長寿福祉課の竹内芳隆課長は「若者から選ばれ、高齢者が働き続けられる職場環境づくりを後押ししていきたい」としている。

© 株式会社福井新聞社