【来日取材】ベルギー1部シント=トロイデン!岡崎慎司、林大地、橋岡大樹、原大智らがお宝エピソードを語る

ベルギー1部シント=トロイデンが21日、福島県双葉郡楢葉町(ならはまち)のJヴィレッジで、選手と小学生がサッカー指導を通じて交流するイベント「Jヴィレッジチャレンジ2023」を開催。

イベントには福島県内外から小学生140人が参加し、FW岡崎慎司、FW林大地、DF橋岡大樹、FW原大智は笑顔で小学生たちを熱血指導していた。

初夏を思わすような陽気の中で行われた交流イベント。ベルギーで激闘を終えた選手たちの表情は柔らかかった。

シント=トロイデンは今季11勝9分14敗で12位に終わり、UEFAヨーロッパリーグプレーオフ出場権をかけて行われているプレーオフ2圏内8位以内に入れなかった。

同チームは1924年に創設され、2017年11月15日に日本のECサイトなどを運営するDMMが買収。

買収後は日本人選手を積極的に補強し、これまで遠藤航、冨安健洋、鎌田大地ら16人の日本人選手を獲得してきた(DMM買収前の2015-2016シーズンにスタンダール・リエージュから期限付き移籍で小野裕二が所属していた)。

来季からJ1ヴィッセル神戸で指揮を執ったトルステン・フィンク監督就任が決定。日本と欧州の架け橋として精力的に動いている。

今回シント=トロイデン立石敬之CEOがイベント終了後に取材を受けた。

フィンク新監督の決め手とは

――フィンク監督の就任を決めた理由を教えてください。

監督に関しては早い段階から数名の監督をリストアップして、それぞれに面談をしました。

その中からもちろん、いまのベースはあんまり崩したくない。(だけど)100周年に向けて勝ち点3を取らないといけない。

ゴールがないといけない。どうしてもゴール数が少ないチームだったので、ゴールを増やせる、失点をもちろん減らしながら。少しラインを高くして前線からボールを奪って、相手のゴールに近いところでプレーしたい。

(それが)できる監督で、なおかつ日本のサッカーを知っていて。タイトルも取っています。

話しても日本人選手の特徴がよく分かっている。

そういう意味で親和性も含めて候補者としては一番良かったかなと思います。

元神戸のヴェルマーレンとも水面下で接触!?

――現地報道では元ヴィッセル神戸DFトーマス・ヴェルマーレンさんの監督就任報道もありましたが、面談はしました?

(話を)しました。監督というよりは、コーチで、アシスタントで。

彼もキャリアを積むにあたっては監督というよりもコーチがいいじゃないかと。

代表チームでコーチやっていましたけど、いまいい教育を受けている最中だと思います。

プレーヤーとしてはすごい実績がある人なので。

(ヴェルマーレンとは)会いましたけど、監督ということではない。(コーチ就任は)今のところはない。

――来季に向けてのビジョンを教えてください。

やっと新しい監督が発表できたので、監督と新しいチームについていま話し合ってる最中です。

きょう来てくれている選手たちも、次のステップに進む選手もいると思います。

ですので選手の動向を見ながら、また新しいチームを作れたらいいなと思います。

来季も欧州挑戦を目指す岡崎

サッカー指導終了後に参加した父兄や子供にサイン会や写真撮影した選手たち。イベント終了後に報道陣の取材を受けた。

日本代表で通算119試合出場50得点を記録した岡崎は、今季からチームに加入した。

最初は練習生としてトレーニングに参加したが、正式に契約を勝ち取った。今季はリーグ戦30試合1得点3アシストを記録し、ベテランとしてチームを引っ張った。

――香川真司がシント=トロイデンでセレッソ復帰を選びました。岡崎選手は今後もヨーロッパで続けますか?

そうですね。ただチームがなかったらどうしようもないので(苦笑)。

家族もヨーロッパ長いし、ヨーロッパが楽っていう。単純にヨーロッパにしがみついているというよりは、生活としてもヨーロッパで過ごすことが普通になっている。

ヨーロッパでサッカーやり続けて、40(歳)という節目が何となく自分にはいいのかなと思っている。それぐらい長く続けていればヨーロッパでやり切ったと自分が思えるのかなと思います。

いまはできるだけ上のクラブでやれるようにしたい。

日本復帰した香川真司とのエピソード

――そういう意味では三浦知良選手がポルトガルに移籍しましたけど、刺激は受けましたか。

カズさんはレベルが違うので(笑)。

どこからそのモチベーションが湧いてくるのかなと思うぐらいですね。刺激というか、また自分は違った見方をしていますね。

――今季退団した香川真司選手について思ったことを教えてください。

真司も僕も結局自分の考えを曲げることはないので(笑)。別に真司がこうだから、自分はこう変えたっていうのはあんまりなくて。

話しているときにはもうシンジはもう自分の決断している。でも何となく気持ちは聞いてほしいみたいな感じで(笑)。彼氏、彼女みたいな(笑)。

4年間ですごく近付いたというか。大きかったのはワールドカップをすごく外れたところから狙いに行くというところが被っていて。

スペイン2部で過酷な状況の中目指すというところからだった。

人間だなと思うんですけど、同じ境遇になるとこんなにも分かり合えるのかなっていうところがすごくあった。

それまでは一緒に行動することは1回もなくて。だけどサラゴサで家が15分のとこにあったので、コロナの中で同じ2部にいてそれを分かち合った。

その後シント=トロイデンで一緒になるというところまでがすごいストーリーだったと思う。

多分昔はどっちかというライバル視合っていた感じはしますね。

――香川選手にかけた言葉はありますか。

単純に頑張ってというところですね。

僕は真司には単純にサッカーを楽しんでほしいなと思ったし、真司は真司で多分自分がどこまでやれるのかっていうのを期待していると思うので。

また会ったときに、お互いが刺激し合える関係であればいいなと思いますね。

――来季に向けての準備は進んでいますか。

契約は白紙の状態なので。

まだまだ僕自身に需要があるのかどうかというのを昨シーズンの評価を受けて、それを受け入れるというところからスタートすると思う。

コンディションの面で、昨シーズンはもう1回上を目指すという気持ちを持てる1年だった。

準備を1カ月ぐらいして、そこからヨーロッパに戻りたいなと思います。

まだ(契約は)ゼロではないなと思います。これから話し合いが始まると思う。やらしてもらえるなら、やりたいという部分が僕は強い。

静かに闘志を燃やす原の決意

原はスペイン2部デポルティーボ・アラベスから期限付き移籍で2021-22シーズンにシント=トロイデンへ入団し、今冬から再びチームへ期限付き移籍で加入した。

今季はチームのターゲットマンとして貢献し、リーグ戦11試合2アシストを記録。

――今季を振り返っていかがでしたか。

なかなか難しいシーズンだったんですけど、すごく自分にとっては有意義なシーズン。

自分は失敗してから這い上がる選手だと思っているので、今シーズンもすごく自分の実力のなさに気付けました。

スペインへ行ったり、ベルギーに戻ったりと2チーム行けたことは、自分のサッカー経験にもすごく生きたと思う。

ただの1年じゃなかったので、しっかりここから結果を出せばいい意味で捉えられると思う。

しっかり結果で返せるように頑張りたいなと思います。

――大型ストライカー視点で日本と欧州の違いを教えてください。

難しいですね。身体が違うというか、しなやかですし、1個1個の動きにキレがあるので、そこが違う。

日本は技術的に上手なんですけど、そもそもの身体が違うなと。

――来季以降のビジョンを教えてください。

どこでやるかはまだ自分も分かんないんですけど、実力があればどこでも行けると思う。

いますぐどこかへ行きたいとかは特になくて、最終的にみんなを追い抜けるような選手になるので見ていてほしいですね。

日本の“ビースト”林は天真爛漫

2021年夏にJ1サガン鳥栖からシント=トロイデンに完全移籍した林。昨季はリーグ戦25試合7得点を挙げ、今季はリーグ戦31試合7得点3アシストと活躍した。

――今季は岡崎選手とプレーしました。学びは多かったですか。

やっぱりサッカーの面ではすごい実績がある方なので、すごく熱心にいろいろ教えていただきました。

オカさんの持っている考え方であったり、どういうメンタリティーで、世界で戦ってきたか、とすごい話もいろいろ聞けました。

プライベートではすごく優しいお兄ちゃんじゃないですけど、可愛がってもらえてメシに連れていってもらえたり、いろいろしてもらっています。

大好きな岡崎選手です。

視線の先は日本代表、ワールドカップ出場

――岡崎選手とのやりとりで、印象に残っていることはありますか。

試合終わったら僕の家にオカさんと橋岡が来て、毎回反省会していた。思い出深いですね(笑)。

(岡崎選手からアドバイスはあった?)もうちょいこの試合はもうちょいできたなとか、次こうしようやとか。日本人同士だから意思疎通ができる。

そんな深い話はしてないです。次も頑張ろうって言いながら、お菓子とか食っていただけ(笑)

――ステップアップを目指していると思いますが、来季のビジョンをおしえてください。

自分がステップアップだなと思えるようなチームからオファーが来れば、しっかりそこに飛び込んでチャレンジしたいと思っています。

(チーム残留については?)契約があと何年か僕はあるので、嫌でもいることになると思います(笑)。

――プレミアリーグで活躍している三笘薫選手は林選手と同い年です。刺激などは受けていますか。

もちろん刺激にはすごいなります。薫はすごいっすよね。いつも三笘先生って言いながら試合見ています。応援していますファンなので(笑)。

――今後の目標やビジョンを教えてください。

ほんまにしっかり2桁取りたいっすね。プロになってから、まだ取ったことないので。

年間通してだとはあるんですけど、リーグだけでのというのはない。

そこでしっかり結果を残してA代表入りたいので、ワールドカップに出たい。その大きな目標に向かって日々努力していきたいなと思います。

今季主軸となった橋岡の収穫と課題

2021年1月末に浦和レッズから期限付き移籍でシント=トロイデンに入団した橋岡は、優れた対人能力と空中戦で存在感を見せて、2021年12月30日に完全移籍を勝ち取った。

今季はリーグ戦32試合4アシストと主軸となり、中盤、右サイドバック、センターバックと様々なポジションをこなしてチームを助けた。

――今季は主軸として出場し続け、今年3月には日本代表に復帰しました。振り返っていかがでしたか。

個人としてはシント=トロイデンではいい結果を残せた部分もあるんですけど、日本代表で少ししか出られなかった部分はものすごく悔しい部分だった。

そこを徐々に、徐々に改善してレギュラーを取れるか。そこを自分なりに考えてやっていきたいなと思います。

古巣のアジア制覇に嫉妬

――今季は浦和レッズがACL制覇しました。古巣のアジア制覇に何を思いましたか。

僕もスタジアムへ観に行ったんですけど、最初は嫉妬せずに見られるかなと思ったんですけど…。

見ていて徐々に、徐々に嫉妬してきてしまった(笑)。俺ももっと、もっとレベルアップしていい姿を見せないといけないなと思いました。

――優勝後、選手とはやり取りされましたか。

軽いおめでとうとかで荻原(拓也)選手と話すことはありました。

――今年1月にはユースの先輩松尾佑介選手がベルギー1部のウェステルローに加入しましたけど、やり取りはしましたか。

松尾選手は僕たちが住んでいる街が40分ぐらいとかにいるので。

松尾選手が「何を持っていったらいい?」とかいろんなこと聞いてきまして(笑)。「炊飯器だけは絶対持って来い!」と言ったんですけど(笑)。

2人でご飯に行ってベルギーリーグは、こんな感じだよって話はしました。

――来季についての抱負を教えてください。

まずは日本代表に入る、日本代表に入ってレギュラーを掴むという部分。

まず1つ、そこを目標にしてやっていきたい。

そうするためにはステップアップしないといけないと思っているので、そういうところを一歩上のステップでやれればいいなと思っています。

――キャリアの上で目指す先は?

5大リーグ目指します。でもまだ何も確定しているわけではなくて、常にいい準備をしながらやっていこうかなと思っています。

もちろんチャンピオンズリーグに出たいですし、それはみんなそう思っていることだと思うんですけど。

まずは5大リーグでプレーするということが僕には必要なことだと思う。

その後にチャンピオンでリーグがついてくると思うので、まずは5大リーグでプレーすることから始めないといけないなと思っています。

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今季ベルギーで戦い終えた日本人選手たちは、終始柔らかい表情で子供たちとサッカーを楽しんでいたが、取材時は既に来季を見据え、言葉に力がこもっていた。来季のシント=トロイデンでプレーする日本人選手たちの活躍から目が離せない。

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