栃木県内25市町当初予算が過去最高 総額8520億円、行政デジタル化など要因

2023年度の県内市町普通会計当初予算

 栃木県内25市町の2023年度普通会計当初予算の総額は、前年度比1.7%増の8519億9400万円となり、過去最高を更新したことが22日までの県のまとめで分かった。行政システムのデジタル化や、施設整備費の増加などが主な要因。物価高対策で今後も補正予算が計上される可能性があり、県は市町の財政状況が急激に悪化しないよう注視していく。

 総額は前年度から141億5600万円増えた。増加は6年連続。16市町で予算額が増え、3市町で同額、6市町で減額だった。

 歳入は、地方税・地方消費税交付金が前年度比3.8%(約136億円)増の3698億2500万円。景気回復による個人住民税や法人住民税などの増加を見込んだ。

 地方債は臨時財政対策債が減少した影響で14.2%(約89億円)減の536億1400万円。歳入に占める自主財源割合は52.6%で、1.9ポイント増えた。

 歳出は、物件費や貸付金が増加。行政システムのデジタルトランスフォーメーション(DX)整備関係費や施設整備費の増加により、物件費は5.9%(約74億円)増の1339億7400万円。

 貸付金は中小企業への事業資金貸し付けのための預託金の増加などで9.9%(約38億円)増の428億1700万円となった。

 市町別の伸び率では、ケーブルテレビの全線光化を進める那珂川町が19.4%増でトップ。次いで斎場の再整備事業を行う栃木市が10.4%増、新学校給食センターの建設に着手する真岡市が8.7%増と続いた。

 予算額が減少した6市町のうち、次世代型路面電車(LRT)整備事業費などが減った芳賀町が17.9%減で、最も減少幅が大きかった。

 市町の予算編成について県市町村課は「歳入が増えるのは望ましいが、見込みだけでなくしっかり税収を確保する必要がある。一方でDX整備費用や物価高に必要な経費も想定されるため、財政状況を注視していきたい」としている。

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