延焼の洋菓子店に支援の輪 募金に後片付け…店主、再出発を決断

火事の被害を受けて店外に運び出された家具=米泉町7丁目

  ●西金沢「ノルマン」

 今月6日夜、米泉町7丁目のカメラ店舗兼住宅を全焼した火事で、延焼の被害を受けて休業を余儀なくされている洋菓子店「ノルマン」への支援が広がっている。地元である西金沢の商店街は仲間の一日も早い復活を願って募金活動を展開し、周辺住民も店内の後片付けなどを手伝う。周囲の後押しを受け、一時は移転や閉店を考えた店主も同所での再出発を決断。秋の営業再開へ向けて準備を進める。

 ノルマンは1971(昭和46)年に創業した。プリンクレープやフロマージュブランなど多彩な洋菓子を取り扱う。喫茶店を併設しており、ケーキバイキングも住民を中心に人気を集めた。

 しかし、6日の火事で隣接するカメラ店から火が燃え移り、営業継続は困難に。燃えたのは店舗の壁など1平方メートルだったが、1階調理場のオーブンやショーケースにはすすが付き、2階の住宅部分は天井がはがれ落ちて家具や壁が壊れた。

 店主である中村誠一さん(59)は無事で、煙を吸って搬送された母(81)も命に別条はなかった。ただ、2匹の愛猫は助け出せなかった。

 「どこから手を付ければいいのか、がくぜんとした」。変わり果てた店内を見て、中村さんはショックと悲しみに暮れた。数日間は眠ることもできず、閉店や移転についても家族で話し合ったという。

 そうした中、苦境のノルマンを助けようと、中村さんが会長を務める「西金プリンスロード商店会」が立ち上がった。加盟する20以上の店舗がそれぞれに募金箱を設置。同地区を拠点とするアイドル「西金沢少女団」も店の再建に必要な費用を集めようと、メッセージカードを考案した。

  ●「気持ち励みに」

 火事で壊れた家具を運び出したり、布団や洗濯機を届けたりする住民もいた。「また思い出が詰まったケーキを食べたい」「西金にノルマンがないとさみしい」との声もあり、中村さんは同じ場所での営業再開を決めた。

 ノルマンは10月からの営業開始を目指しており、中村さんは「みんなの気持ちを励みに再スタートにこぎつけたい」と語った。

設置された募金箱=西金沢1丁目

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