やり切った自分を褒めて

 すがすがしい引退会見だった。「自分自身、やり切ったと思えた。卓球に必死で夢中になった競技生活23年間だった」。女子卓球界の第一人者は、時折、涙をこらえながら、晴れやかな表情で言葉をつないだ▲五輪で銀2、銅1のメダルを獲得した石川佳純さん(30)が先日、現役引退を表明した。卓球関係者が「誠実で本当にいい子」と口をそろえる彼女の会見には、報道陣や関係者約200人が集まった▲名前が全国に知れ渡ったのは2007年、彼女が中学2年生の時だった。トップ選手が集う全日本選手権で4強入りすると、その後はずっと日本の顔として活躍。五輪3大会をはじめ、世界で実績を残してきた▲直近の世界ランクは11位。惜しまれながらの引退だったが、体力も気力もぎりぎりまで振り絞ったから出せた結論なのだろう。「頑張ることをやめなかった自分を少し褒めてもいいかなと。人としても成長させていただいた」▲来月2日、約1万人の選手が参加する県高総体が始まる。石川さんのような世界のレベルではないが、ここで部活動を「引退」する3年生にとっては、高校生活の集大成となる大舞台だ▲そんな最後の挑戦をするみなさんへ。ぜひ、やり切ってもらいたい。すべてを終えた後、自らを褒められるように頑張ってください。(城)

© 株式会社長崎新聞社