被爆前の日常 想像して レクナ制作の教材活用 長崎・野母崎小で平和学習

被爆前の日常について写真を使って児童に説明する林田特任研究員=長崎市、青潮学園

 長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)が、被爆者や遺族から収集した被爆前の写真などを活用した平和学習が23日、長崎県長崎市野母町の市立野母崎小中一貫校「青潮学園」(福田全伸校長、165人)であった。小学5年生29人が、当時の生活と今との共通点や相違点を探した。
 レクナは、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館(同市)から「被爆の実相の伝承のオンライン化・デジタル化事業」(2021~23年度)を受託。被爆前の人々の暮らしに焦点を当て、写真と証言を組み合わせた教材を作成した。写真や教材などを集約したホームページ「被爆前の日常アーカイブ」は3月に公開している。
 小学生を対象にした授業は初めて。授業では、教材を使って被爆前の生活や学校の風景を紹介。戦時中にキックボードがはやっていたことや今とあまり変わらない洋服を着ていたことを教わり、児童は声を上げて驚いたり、意見を言ったりした。被爆前後に撮影された被爆地の航空写真をつなぎ合わせたデジタルマップも使い、原爆によって変わったまちや人々の人生を想像した。
 授業を担当したレクナの林田光弘特任研究員(31)は「平和学習では当時と今の違いを意識しがちだが、それだと自分たちと違う人だという感覚になってしまう。関係ない話と考えるのではなく、自分たちがどうしたら戦争しないで済むか考えながら学ぶことが大事」と児童に呼びかけた。
 熊本栞汰君(10)は「被爆前の戦時中と今の人々の生活はあまり変わらないんだと分かって、(当時を)身近に感じた」と話した。

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