「ガチャガチャ」で犯罪被害者の支援に貢献-。兵庫県警などが、姫路市内にあるカプセル玩具自動販売機の売り上げの一部を公益社団法人「ひょうご被害者支援センター」に寄付する試みを始めた。支援に対するハードルを下げるとともに、被害者の実情について少しでも多くの人に関心を持ってもらう狙いがある。
JR姫新線太市駅前のレストラン店頭に並ぶガチャガチャ12台。設置業者「S・Kふれんず」(兵庫県播磨町)が、集金時に売り上げの一部を同センターへ送る仕組みで、3月末から運用を始めた。
そもそもの目的は、同センターの財源確保だった。被害者の相談対応や裁判所への付き添いなどの業務は、一般からの寄付で成り立っている。県警被害者支援室とS・Kふれんずがアイデアを出し合い、レストランを経営する「関西陸運」(姫路市)の協力を得て実現した。
12台のガチャガチャの中身は、ドラえもんやピカチュウなど人気キャラクターの関連商品が多く、購買層の中心は家族連れだという。関西陸運の山浦久子専務は「子どもが欲しがっても、お金を払う親にとっては魅力が分からないことがある。社会に貢献できるとなれば、納得して購入してくれるのでは」と話す。
県警によると、売り上げの一部を寄付する社会貢献型の自販機は多いが、犯罪被害者への支援に充てるガチャガチャは全国でも珍しいという。同センターの遠藤えりな事務局長は「犯罪に巻き込まれるリスクは、子どもも大人も抱えている。親しみやすいガチャガチャを通して、被害者に目を向けるきっかけにもなってほしい」と願う。(小川 晶)