会長に米田糸魚川市長再任 自治体とJR西 着地点探り合い 大糸線活性化協議会

 JR大糸線糸魚川―信濃大町(長野県大町市)の沿線自治体と新潟、長野両県、JR西日本で組織する「大糸線活性化協議会」は24日、糸魚川市のヒスイ王国館で総会を開いた。本年度の事業計画や収支予算、役員改選など5議案を原案通り承認した。
 本年度は新型コロナウイルス感染症の「5類移行」を踏まえ、大糸線活性化に向けた取り組みをさらに推進。生活利用促進や観光利用強化への各種施策などの他、沿線住民のイベント利用や小中学校の行事利用などを促して「地域連携・協働」を図る。予算は収支ともに1192万2000円。
 役員改選については、正副会長、監事2人の役員全員が再任。引き続き糸魚川市の米田徹市長が会長、長野県小谷村の中村義明村長が副会長を務める。任期は2年間。

総会終了後、報道陣の取材に応じる米田市長(右から2人目)、漆原支社長(同4人目)ら

◇自治体とJR互いに主張
 厳しい利用状況が続く大糸線の今後をめぐり、沿線自治体とJR西日本が互いの考えを述べ合う場面が目立った
 総会の冒頭あいさつで、米田市長は「近年、人口減少や少子高齢化が進んだこともあり、大糸線の利用は減少傾向。さらには新型コロナウイルスの影響も受け、利用状況は非常に厳しい」としつつ、「大糸線がより魅力的な路線となるよう、活性化、利用促進に一生懸命取り組む」などと呼び掛けた。
 一方、JR西の漆原健・理事金沢支社長は「実際の実績などを見ていると、利用促進で活性化を図っていく、乗客を大幅に増やしていくのは厳しい」とした上で、「活性化に加え、持続可能な路線としての方策検討で別の議論の場を頂戴しているが、将来に向けた交通の在り方でなく優先して活性化に取り組むと、今のところ現状把握にとどまっている。大変残念」と述べた。
 総会終了後、報道陣の取材に米田市長は「大糸線は、地域住民の足と観光の二面性がある。近年は人口減少、少子高齢化により住民の生活の中で(利用が)減少している状況。観光については地域にとって大切なこと。大切な支援としてわれわれ自治体では取り扱い、活動していきたい」と強調した。
 漆原支社長は「利用促進に力を入れていただいているのは、本当にありがたい。私どもも、できることにしっかりと汗をかいていきたい」などと感謝した一方で、「大糸線の利用状況を見ると、地域のお役に立てていない状況。活性化策でしっかり利用を増やす努力を進めながら、どういう交通がこの地域の皆さまのお役に立てるものなのか、並行して議論させていただきたい」とした。

総会の冒頭、あいさつする同会会長の米田市長(奥)

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