足踏み

 バシッと当たってがっぷり四つ、相手の攻めを2度しのいで土俵の中央へ。どちらも譲らぬ攻防に大きな拍手が起きる。相手優位の組み手を嫌って巻き替えに出たところを狙って関脇が前へ。今度は抗しきれず土俵を割った▲県内のそこら中から「あー」とため息が聞こえてきそうな相撲だった。快調に白星を重ね、勝ち越しを目前にしたところから悔しい足踏みが2日間続いている大相撲の平戸海関▲実力者、好調者との対戦が続く。昨日の相手は今場所の成績次第で大関昇進の声がかかる霧馬山関。一昨日は不祥事による謹慎明けから再入幕を果たし、賜杯争いのトップを並走中の朝乃山関とぶつかった▲地位が上がると強い相手との対戦が増えるのは大相撲の必然だが、どんな相手にも臆せず前に出る直線的な取り口は変わらぬままだ。だからファンが沸く▲「場所ごとに体が大きくなっている」と証言するのは先の朝乃山関。年齢は6歳離れているが、入門が同期なのだという。「謹慎中から注目していた。活躍に刺激を受けていた」とも▲それにしても-。応援する力士が1人いるだけで、場所と場所の間隔がこうも短くなるとは思わなかった。なんだか新鮮な感覚だ。人気も実力も一目置かれつつある彼。まずは勝ち越しへもう1番。そして、その先へ。(智)

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