対馬・核ごみ処分場調査 長崎県知事「慎重検討が必要」 観光など影響懸念

 高レベル放射性廃棄物(核のごみ)最終処分場の選定調査を巡る長崎県対馬市での議論について、大石賢吾知事は24日の定例会見で、観光業や水産業への風評被害などを懸念し、「(調査の受け入れは)慎重に検討する必要がある」と述べ、処分場誘致に対しては「現時点で推進する立場にない」とした。
 同市では処分場誘致が地域振興につながると期待する声があり、市商工会や県建設業協会対馬支部などが選定の第1段階となる文献調査への応募検討などを求める請願を6月の定例市議会に提出する方針。一方、市民団体は経済への風評被害や安全性などを理由に反対の請願を提出する予定。
 文献調査は市町村の判断で実施できるが、第2段階以降の調査は、知事の同意が必要となる。大石知事はこうした流れを踏まえ、調査について「まずは県民の安全確保や生活への影響を十分に検討するべきだ。本県は観光県、水産県であり、風評被害が生じないか考えなくてはいけない。さまざまな影響を考慮すべきだ」と強調した。

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