京都・亀岡暴走、家裁の管理職「少年記録は原則廃棄」と思い込み 誰にも相談せず廃棄

最高裁へ記録廃棄の経緯説明や意見陳述を求める要望書を発送し、会見する亀岡暴走事故の遺族、中江美則さん=今年3月7日午前、京都市内

 全国の重大少年事件記録などが廃棄されていた問題で、2012年に起きた京都・亀岡暴走事故の記録は、京都家裁の担当管理職が「少年記録はプライバシーの問題から原則廃棄」などと思い込み、誰にも相談せずに廃棄の手続きを進めたことが分かった。25日に公表された最高裁の調査報告書で廃棄の経緯が明らかになった。

 事故は12年4月、無免許の元少年=当時(18)=が居眠り運転する軽乗用車が集団登校の列に突っ込み、胎児を含む4人が死亡、7人が重軽傷を負った。娘の登校に付き添っていた女性は、妊娠7カ月のおなかの子とともに命を奪われた。京都家裁は21年までに、保護処分を受けた3人分の事件記録や、元少年6人分の生い立ちなどを記した調査記録を廃棄した。

 報告書によると、担当だった京都家裁の管理職は、事件が発生当時から報道されたことを知りながら、その後に廃棄対象になったことを他の職員に告げられ、誰にも相談せずに廃棄手続きを進めていた。「特別保存する考えには至らなかった」などと説明したという。その理由として、事件記録は既に検察官に送られており、罪名が殺人などの重大なものではないと考えていたという。さらに、少年記録はプライバシーの問題から原則廃棄するべきだと思い込んでいたとした。

 同様に、05年10月の姫路ホームレス放火殺人事件でも、担当だった管理職が「基本的には全件廃棄と考えていた」といい、誰にも相談せずに廃棄手続きを進めていた。その管理職は公判時の業務を担当しており、事件内容も把握していたが、記録を保存する必要性については、「加害少年が再審請求などの名誉回復の手段をとる可能性があるかどうか」という観点でしか考えていなかったとした。

© 株式会社神戸新聞社