女性患者の肺がん疑い、当直医が検査報告確認せず1年4カ月後死亡 4年前にもがん見落とす医療ミス 兵庫・丹波医療センター

県立丹波医療センター=丹波市氷上町石生

 兵庫県は25日、県立丹波医療センター(同県丹波市)で検査を受けた70代女性に肺がんの疑いが見つかったにもかかわらず、担当医2人が報告を見落とす医療ミスがあったと発表した。女性は1年後に肺がんと診断され、その4カ月後に死亡した。県は女性の遺族に損害賠償として1125万円を支払い、和解する方針。

 県によると、女性は2021年8月の当直時間帯にめまいで救急搬送された。当直医の指示で腹部のCT(コンピューター断層撮影)検査を行った結果、肺下部に影があり、放射線科医は胸部検査の追加をオンラインの「読影リポート」で指摘。ところが当直医は確認せず、日勤の担当医に腹部CTを実施したことも引き継いでいなかった。

 読影リポートは日勤の担当医もシステム上で見ることができ、県病院局は「本来なら日勤の担当医も確認すべきだった」とする。

 女性は症状が安定し、帰宅したが、せきが続いたため22年8月に同センターが指定管理を担う別の診療所を受診。胸部CTで最も進んだ「ステージ4」の肺がんと診断され、追加検査の見落としが判明した。既に脳や肝臓にも転移しており、同年12月に死亡した。

 県は再発防止策として、読影リポートの未読をチェックするシステムを導入する。県病院局は「大変申し訳ない。より一層、安全対策の取り組みを進める」としている。同センターでは19年にもがんの見落としがあり、20年に患者が死亡した。(田中陽一)

© 株式会社神戸新聞社