ふげん内に保管中の使用済み燃料、フランスへの搬出遅れる可能性…輸送容器の製造段階で課題

 廃炉作業中の新型転換炉ふげん(福井県敦賀市)内に保管している使用済み燃料について、日本原子力研究開発機構が計画する2023年度中のフランスへの搬出開始が遅れる可能性があることが5月25日、関係者への取材で分かった。燃料の輸送容器「キャスク」の製造段階で課題が見つかり、対応が必要になったことなどが影響しているとみられる。26年夏ごろとしている搬出完了時期も遅れる可能性がある。

 ふげんには使用済み燃料466体が保管されており、原子力機構は22年6月にフランスのオラノ社と燃料輸送と再処理に関する契約を締結。23年度から26年夏ごろまでを燃料搬出期間とし、東海再処理施設(茨城県)で保管する265体と合わせ計731体を複数回に分けて輸送する計画だった。

 キャスクは1基当たり使用済み燃料を最大32体収納する。21年5月に規制委から設計が承認され、原子力機構とオラノ社との契約で海外で製造している。原子力機構によると、キャスクは現時点でふげん内に搬入されていない。

 関係者によると、製造段階のキャスクの部材に設計変更などの対応が必要になり、ふげんへのキャスク搬入が計画よりも遅れる可能性があるという。また24年パリ五輪などの影響もあり、燃料搬出期間が延びる可能性もあるとみられる。

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 ふげんの使用済み燃料の搬出を巡っては、原子力機構はこれまでに搬出完了時期を2度先送りした。当初は12年度の完了予定だったが、東海再処理施設の運転再開遅れで17年度に延期。2度目は同施設の廃止で海外再処理が必要となり、26年夏ごろまでに延ばした。

 ふげんは03年に運転を終え、08年から廃炉作業に着手。昨年8月には、原子炉本体の解体工法の見直しにより、廃炉完了時期を33年度から7年遅らせ、40年度に変更している。

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