紬織着物に現代感覚を織り込む、京都の大丸ミュージアムで日本伝統工芸染織展

洗練された技術による華やかな作品が並ぶ会場(京都市下京区・大丸ミュージアム京都)

 日本伝統工芸染織展(京都新聞など主催)が京都市下京区の大丸ミュージアム京都で開かれている。伝統技術を生かしながら、現代の感覚を織り込んで創作した着物、帯など約70点が並ぶ。

 文部科学大臣賞を受賞した北岡悦子さん(大阪市)の紬織(つむぎおり)着物「湖国の輝き」は、作者が母方のルーツである彦根を訪ねた印象をデザインした。湖や空の青、彦根城の堀に映る新緑を、三角形と四角形が重なるモチーフで表現。時の厚みや城の姿、コロナ禍を開く窓などもイメージした。

 奨励賞・京都新聞賞は村井裕子さん(京都市)の紬織着物「深山幽谷(しんざんゆうこく)」が選ばれた。水墨画に描かれるような山並みや静けさ、木々の姿などを、幾何学模様でリズミカルに表現した。

 審査に当たった綴織(つづれおり)作家の細見巧さんは「作者の思いがまっすぐ伝わることを重視した」と言い、全出品作について「伝統技法ではあるが、現代の人が身にまとうものとしての表現ができているかが問われる」とした。展示は29日まで。有料。27日は村上良子さん、28日は森口邦彦さんの列品解説が午後2時からある。

© 株式会社京都新聞社