放置竹林を活用「地獄蒸しめんま」販売へ 別府市の外郭団体が企画【大分県】

メンマの材料の真竹を収穫するB―bizLINK(ビービズ・リンク)の社員=別府市野田
メンマの材料は発芽から2~3カ月の真竹。柔らかい部分を切り落として収穫する

 【別府】別府市内の放置竹林を活用し、「別府地獄蒸しめんま」として売り出す取り組みが始まった。竹林整備をする代わりに材料の竹を譲り受け、メンマに加工して販売する。管理が行き届かないことで起きる地滑りなどの「竹害」を防ぎ、新商品も生み出す一石二鳥のプロジェクト。9月ごろをめどに土産物店や飲食店で売り出す予定。

 市の外郭団体B―bizLINK(ビービズ・リンク)の企画。地獄蒸し料理を提供する蒸士茶楼(むしちゃろう)(風呂本)と別府漬物(上原町)の2社が調理や味付けを担当する。

 メンマにできるのは発芽して2~3カ月ほどの若い真竹やモウソウチク。節と節の間の柔らかい部分を切り分け、大型の蒸し釜で1時間ほどかけて地獄蒸しにする。塩漬けなどの工程を経て約1カ月半で完成する。瓶詰(100グラム)にし、初年度は約1万個の販売を目指す。

 ビービズ・リンクは市内東山、亀川、鉄輪―など6カ所の竹林の所有者と契約。整備と収穫は社員が担う。

 今月から本格化した収穫では、若い竹(約160センチ)から柔らかい部分を15センチほど切り落とし、すぐ蒸せるよう表皮を剝がすなどの作業をしている。

 市内野田の60代夫婦も所有する竹林(約430平方メートル)を整備できる人がおらず、手つかずのまま放置していた。「今はとても助かっている」とプロジェクトを歓迎。「メンマにする発想はなかった。どんな商品になるか楽しみ」と完成を待ちわびる。

 県林産振興室によると、県内の竹林は2022年3月末時点で約1.4万ヘクタールと全国で2番目に多い。別府市内の竹林は821ヘクタール。所有者の高齢化などにより全県で放置竹林化が進んでいるという。

 ビービズ・リンクは「今後、竹の収穫体験などレジャーの一環にすることも検討している。別府を訪れる観光客の増加にも貢献したい」と話している。

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