メルセデスF1代表、アップグレードは“特効薬にはならない”と主張「安定したプラットフォームが与えられることに期待」

 メルセデスのチーム代表を務めるトト・ウォルフは、チームが今週末のF1第7戦モナコGPにアップグレードを投入しても、メルセデスの運命が完全に好転することを期待すべきではないと警告を繰り返した。

 イタリア北部で起きた洪水によりイモラでのエミリア・ロマーニャGPが中止になったため、メルセデスは大規模なアップグレードパッケージをモナコで投入する。ウォルフはメルセデスのモナコGPプレビューで、「イモラでのレース中止を受けて、我々の思いは今もエミリア・ロマーニャ地域で大洪水の被害を受けた人々とともにある」とコメントした。

「我々は映像を見て悲しみを覚えているが、救急隊の救助活動と、地域社会が示した回復力に感銘を受けた。来年に、より喜ばしい状況でイモラに戻ることを楽しみにしている」

 モナコのタイトで曲がりくねったレイアウトではミスをする余裕はなく、大規模な変更を実装するのに理想的なサーキットとは言えないが、メルセデスは開発プログラムとともに前に進むことに尽力している。

 メルセデスのアップデートは、新しいフロントサスペンションと改良版のフロア、そして再設計されたサイドポッドが含まれる予定だ。チームは、この変更によってW14を開発するためのより安定した土台がもたらされることを期待している。しかしウォルフは、F1には確実な方法などないと改めて警告した。

「カレンダーが修正されたということは、モナコがシーズンのヨーロッパラウンドのスタート地点になるということだ」

「独自性のあるイベントだが、W14のアップグレードについて学ぶ機会もあるだろう。だが、この一回のイベントからあまり多くの結論を出さないように注意する必要もある」

「我々は新たな開発の方向に向けて最初の一歩を踏み出している。これは特効薬にはならないだろう。私の経験では、F1にはそのようなものは存在しない。これによってドライバーたちにより安定した、予測可能なプラットフォームが与えられるよう期待している。そして今後数週間から数カ月にわたって、これを基礎に積み重ねていけるだろう」

「F1は厳しい競争であり、実力社会だ。我々は望む場所にいないが、権利意識は持っていない。ハードワークこそが我々をトップに導くのだ」

2023年F1第7戦モナコGP メルセデスW14の新サイドポッド

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