<金口木舌>財布も債務も気になる

 毎月、蓄えが徐々に減り、やせ細る財布に戦々恐々としている身にとって、月末の給料日は待ち遠しいもの。今月は財布同様、米国の動きにも気をもんでいる。債務上限を巡る問題だ

▼債務上限が法律で設定されたのは1917年。世界でもまれな制度で、対立の原因となってきた。過去には財務省が額面1兆ドルのプラチナコインを発行し、米連邦準備理事会が購入することで予算を調達するという「奇策」がメディアで取りざたされたこともある

▼早ければ6月1日にもテクニカルなデフォルト(債務不履行)に陥る可能性がある。政府と野党共和党は交渉を続けているが、双方とも内部の圧力を受け、妥結は見通せない

▼財政健全化という意味では評価する向きもあろう。しかし、「チキンレース」とも表現される政治ショーの動向に世界が不安を感じている。もしデフォルトとなれば円高を招き、日本経済にも打撃となりそうだ

▼コロナ禍から回復局面にある沖縄経済もダメージを受ける。薄い財布と米国の政争。どちらも見ていて、ため息が出る。

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