拙者は〝ななつ星お見送り侍〟 豊後竹田駅で加藤さん、武者姿のもてなし【大分県】

武者姿で「ななつ星in九州」の乗客と記念写真を撮る加藤雄志さん(中央)=竹田市のJR豊後竹田駅

 【竹田】JR九州の豪華寝台列車「ななつ星in九州」が竹田市の豊後竹田駅から出発するのに合わせ、武者姿で乗客を見送る男性がいる。同市で育った公務員加藤雄志さん(50)=大分市金池町。地元を「元気にしたい」とボランティアで続け、城下町にある同駅での思い出づくりに一役買っている。

 4月下旬、同駅ホームに停車するななつ星のそばに約15キロの甲冑(かっちゅう)を身に着けた加藤さんが姿を現した。散策から戻ってきた米国の乗客を「ウエルカム トゥー タケタシティー」と歓迎。記念写真を求められ、快く応じた。

 午前11時20分ごろ、ななつ星が阿蘇方面に向け動き始めると、手を振って見送った。「喜んでもらえるのでうれしいし、楽しい」と笑顔を見せた。

 加藤さんは愛知県生まれ。小学4年で父の実家がある竹田市志土知に移り、竹田高卒業後の1992年、県職員になった。

 昨年4月、県豊肥振興局(同市)に異動し、地元勤務となった。以前と比べ「人通りが少なくなった」と感じ、地域を盛り上げようと市内の劇団に加入。さらに地域おこし団体「岡城武者揃(ぞろ)え実行委員会」に入り、週末はよろいかぶとを着けて岡城跡で観光客をもてなしてきた。

 豊後竹田駅でのもてなしは、ななつ星が止まるのを知り、同駅の了承を得て3月から始めた。2週間に1回ほど、勤務の都合が付き同列車が停車する金曜午前にホームに立つ。

 菊地尋樹駅長(50)は「歴史ある城下町にマッチした取り組みで歓迎している。ななつ星を見送る方が増えるとうれしい」。加藤さんはSNS(交流サイト)で自身の活動を紹介しており、「全国、世界に竹田を発信し、訪れてもらうきっかけになれば」と話した。

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