福井県のご当地ソング、昭和歌謡好きの高校生が徹底調査 嶺北地域は悲恋、嶺南地域には懐かしさ…違いまとめ寄稿

福井県内のご当地ソングについて調べた森野さん=敦賀市中央町1丁目

 福井県立敦賀高校2年の森野巧巳さん(16)が県内のご当地ソングについて調べ、嶺南よりも嶺北を舞台にした曲が多いことを、リポートにまとめ現代詩愛好団体の詩誌に寄稿した。東尋坊や越前岬など荒々しいイメージの場所が多い嶺北の歌は物寂しさを感じ、若狭湾や気比神宮など穏やかな場所がある嶺南の歌は懐かしい感情を抱かせる―などと違いも分析した。

 森野さんは昭和歌謡が好きで、1500枚以上のレコードを持っている。県内の高校生が福井の方言辞典をつくるプロジェクトで編集長を務めており、民俗学者の金田久璋さん(79)=美浜町佐田=に助言を求めにいった際に「嶺北と嶺南のご当地ソングの違いについて調べてみてよ」と提案され、昨年11月に調査を始めた。

⇒EXILEも認めるダンスの実力…福井県の男子高校生、夢はKポップ

 1~2カ月ほど、インターネットや持っているレコードで調べたり、各市町に電話したりして、全112曲を見つけた。うち、嶺北が74曲、嶺南が38曲だった。リポートでは、各曲を舞台となった「越前」「若狭」のほか市町ごとに分類し、歌手名、発売年月日などを記した。嶺北のご当地ソングが多い理由は「(荒々しさが感じられる)嶺北の方が、歌謡曲に多い悲恋や哀恋をテーマに詞を書きやすかったのだろう」と推測した。

 リポートは、金田さんが代表を務める現代詩愛好団体「角の会」が3月に発行した詩誌「角」の第61号に寄稿した。金田さんは「熱心に勉強していて知識も豊富で立派だと思う」と目を細める。森野さんは「嶺南を舞台にした曲は少なかったが、温かみのあるものが多く個人的には好きだった」と話していた。

 詩誌「角」は県立図書館などで閲覧できる。

© 株式会社福井新聞社