金沢-敦賀125キロ 新幹線レールつながる

連結したばかりのレール上を走るモーターカー=芦原温泉駅(鉄道・運輸機構提供)

  ●芦原温泉駅で締結式

 2024年3月に延伸予定の北陸新幹線金沢―敦賀間のレール締結式が27日、あわら市の芦原温泉駅で行われた。12年6月に着工した金沢―敦賀は125キロあり、既に開業している東京―金沢と合わせ全長580キロの線路がつながった。建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)や沿線自治体の関係者が最後のレールをボルトで固定し、軌道工事の完成を祝った。工事の遅れや事業費の増額など曲折を経て、開業準備は最終段階に入った。

 式典には馳浩石川、杉本達治福井両県知事をはじめ、国会議員や沿線自治体の首長ら約70人が出席。鉄道・運輸機構の藤田耕三理事長はあいさつで、トンネルの地盤膨張に伴う追加工事などで当初予定の23年春開業から1年遅れたことに触れ「ご迷惑、ご心配をおかけした」と陳謝した。

 両知事や斉藤鉄夫国土交通相ら約30人が「えい、えい」と声を合わせてレールを固定するボルトを締めた。地元児童や旅館の女(お)将(かみ)がくす玉を割り、つながったばかりのレール上を工事用のモーターカーが走り抜けると、歓声が上がった。

  ●東京―福井2時間53分

 小松、加賀温泉、芦原温泉、福井、越前たけふ、敦賀の6駅が誕生する。秋から新幹線車両を入れた点検が行われる見通し。鉄道・運輸機構によると、東京―福井は最速2時間53分で結ばれると想定されている。

 金沢―敦賀のレールが結ばれたことに、沿線自治体の関係者からは近づく開業へ期待の声が聞かれた。

 馳知事は「北陸三県が1時間でつながる」と喜び、杉本知事は「福井にとって初めての新幹線であり、官民挙げて盛り上げたい」と語った。小松駅開業を控える宮橋勝栄小松市長は新幹線整備に尽くした先人に感謝し「新幹線をまちづくりに生かすのは、私たちの世代の責任だ」と誓った。

 この日はあわら市内で福井県北陸新幹線建設促進同盟会の総会も開かれた。

 ●〈視点〉新大阪着工の一歩に

 金沢―敦賀間のレール締結は、北陸新幹線の「第2の開業」が迫ってきた証しであり、新幹線を待ち望む福井のほか、石川、富山の沿線自治体においても開業機運を盛り上げる号砲となることが期待される。

 ただ、敦賀延伸はあくまで大阪までの全線開業の通過点であり、敦賀―新大阪の着工に向けた一歩としなければならない。レール締結式で馳知事が「敦賀以西を目指して頑張ると誓い合う日でもある」と言ったように、北陸三県が足並みをそろえて取り組みを着実に前進させる必要がある。

 着工に向けた手続きが遅れているのは、環境への影響、建設残土の処理など課題を抱える京都の合意を取り付けるのが難航しているためだ。

 それでも先日の建設促進大会では、北陸と京都、大阪の沿線5府県知事が初めて顔をそろえた。高い障壁を乗り越えるには北陸新幹線の応援団を関西で増やす北陸三県の発信力のアップが不可欠だろう。(加賀支社長・小林広大)

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