大正期のコメ「愛国3号」で日本酒醸造へ 県内高校生が田植え 活用計画2年目開始

苗を手植えする栃木農業高の生徒=栃木市

 栃木県下都賀農業振興事務所は本年度、栃木農業高、小山北桜高、小林酒造(小山市卒島(そしま))と連携し、大正期に県内で栽培されていたコメの品種「愛国3号」を使った日本酒の試験醸造に乗り出す。25日には栃木農業高の生徒が同校の水田で田植えをした。

 同事務所は昨年度、愛国3号を復活させ、酒米として生産拡大や新商品開発を目指す「酒米復興プロジェクト」を立ち上げた。農業者の所得向上を目指し、収益性の高い酒米の生産振興を図ろうと、両校や同酒造とタッグを組んだ。ストーリー性などがある品種として、愛国3号に着目した。

 初年度は種子の増殖を目的に愛国3号の米を栽培した。両校の計約31.5アールの田んぼで生産し、種もみを11キログラム確保した。

 本年度は、生産拡大に向け種子をさらに増やし、初の試験醸造に取り組む。種もみが約90~100キログラム、玄米は1440キログラムの収穫が目標。冬に同酒造での醸造を実施し、本格醸造は2024年度産を予定している。

 栃木農業高ではこの日、植物科学科作物専攻の3年生10人が、1.5アールに苗を植えた。リーダーの石村将吾(いしむらしょうご)さん(17)は「先輩たちが残してくれた種なので今年も順調に育つよう、病気に気をつけたい」と意気込みを語った。

 小山北桜高でも今月、田植えを実施した。同事務所の担当者は「本格醸造に向けて今年もより良い生産に取り組んでいきたい」と話している。

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