「私も全くの素人だった」 10年を経て創作竹灯籠グループの代表に、滋賀の渡部さん

竹灯籠を制作する渡部さん。平均で2カ月程度かかるというが「根気があれば大丈夫」と話す(湖南市菩提寺)

 社寺や公共施設で創作竹灯籠を発表する高齢者のグループ「川部の郷」で渡部俊夫さん(73)は代表を務める。「シニアの作品を見てもらい、心が安まり、自身もやってみようと思ってくれたらうれしい」と話す。

 竹灯籠(直径12センチ、高さ35センチ程度)の図柄はさまざまだ。優しい顔の仏像やたくさんの羽根を彫り込んだ鶴、毛並み豊かな猫、般若心経を9カ月かけて彫り込んだ作品もある。いずれも彫りが細かく、さぞや技術が必要かと思いきや「私も全くの素人だった。根気があればできる」と笑顔を見せる。

 自身もリタイア後の10年前に妹背の里(竜王町)の教室で竹細工に出合った。教室卒業生で作るグループに入り、先代代表が体力の衰えを理由に退いたのを機に引き継いだ。就任後、これまでに2千近い図案を集め、メンバーと楽に制作する方法を考案。3年前から奈良県山添村でも月1回、請われて教えている。「今、グループや教室で関わる仲間が100人。高齢だから家でテレビを見ている、ではこうはならなかった」

 実は環境も考えた取り組みだ。材料となる竹は竹林整備で出た間伐材でまかなう。「荒れた竹やぶを整えて、私たちは無償で材料をもらう。互いに利益があるわけです」。展示会の時に放置竹林の所有者に声をかけられることもあるという。

 2025年開催の国民スポーツ大会の会場や周辺施設を竹灯籠で飾り、選手や観客を「おもてなし」をすることを思い描く。「全国の人々に私たちが作る光を見てほしい」と夢を語る。湖南市菩提寺北2丁目。

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