三国観光ホテルがブリーズベイホテルに事業譲渡 福井県の東尋坊近く、名称変更し営業継続へ

ブリーズベイホテルへの譲渡が決まった三国観光ホテル=6月2日、福井県坂井市三国町

 京福電鉄の子会社、三国観光産業(福井県坂井市三国町、増田寿男社長)が運営する「三国観光ホテル」が、全国でホテルの買収、再生事業を手掛けるブリーズベイホテル(BBH=本社神奈川県横浜市、津田則忠社長)に6月30日付で事業譲渡されることが2日までに分かった。三国オーシャンリゾート&ホテルに名称変更し、営業を継続する。BBHによる福井県内ホテルの買収は、クラウンヒルズ武生(旧武生パレスホテル)に続き2例目。

 京福電鉄は1968年に前身のホテルの運営会社を子会社化し、84年に「三国観光ホテル」としてリニューアルオープンした。洋室52室、和室43室、和洋室2室の計97室。最大300人まで利用できるホールなどもある。

 2018年に約4万2千人だった年間の宿泊者数は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、20年に約1万8千人まで減少。流行の落ち着きとともに客足が戻り、22年は約3万9千人まで回復していた。三国観光産業の松尾誠一取締役(ホテル事業部担当)は「来年春に北陸新幹線が延伸するタイミングで、客足回復を含めたプラス材料をより生かせる会社に事業譲渡した方が地域に貢献できると判断した。前向きな事業譲渡と考えている」と強調する。

 昨年から譲渡先を探し、コンサル会社を通じてBBHとのマッチングが成立した。BBHは敷地建物や設備一式を取得し、正社員とパートを含めた従業員約80人の雇用を引き継ぐ。買収金額は非公表。これまでの宿泊予約は同条件で利用できるほか、日帰り入浴などの既存のサービスも当面継続していくという。

 BBH経営支援部の堺直紘マネージャー(北陸担当)は「三国の豊富な食や東尋坊といった観光資源のほか、高台から日本海を望める立地を高く評価した。我が社のホテル経営のノウハウを組み合わせれば、より魅力的な施設にできる」と強調。三国オーシャンリゾート&ホテルは北陸で11店目のホテルとなり、「繁忙期など北陸内で社員を流動的に動かすことができ、効率的な経営につなげられる」とも説明している。

 BBHは既存ホテルの買収、再生によって現在、国内外でビジネス、シティー、リゾートホテルを計約140店を展開している。

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