農福連携「焙煎びわ葉茶」発売へ 障害者が手作業 長崎の出島福祉村グループ

出島福祉村グループが開発した飲料「焙煎びわ葉茶」。右は繊毛がついた葉、左は拭き取った後の葉=長崎市内

 長崎市の社会福祉法人、出島福祉村(池田賢一理事長)グループは2日、県特産ビワの葉を使った飲料「焙煎びわ葉茶」を今年秋に発売すると発表した。障害者が製造に関わる農福連携事業。健康茶として期待され、環境に優しい紙容器を採用した。
 同グループは地域の生産者から農作物を仕入れ、運営する障害者就労施設が加工・販売する仕組みで、持続可能なビジネスモデルの構築を目指している。ビワの茶もティーバッグで扱っている。
 新商品開発を支援したジャパンオーガニックパーティー代表理事の吉川雅之・京都薬科大名誉教授によると、ビワの葉は江戸時代に疲労回復などの効果をうたい販売されていた。新商品は農薬不使用、無添加、ノンカフェインで、抗酸化成分ポリフェノールを含む。今後、約半年かけて臨床試験で機能性を立証する。
 ビワの葉の裏には繊毛がある。これを障害者が1枚ずつ布で拭き取り、雑味のないすっきりとした飲み口に仕上げる。抽出以降の工程は凸版印刷が担う。福岡県内の工場で、間伐材を活用した紙容器に無菌充塡し劣化を抑制する。195ミリリットル。参考価格280円。
 池田理事長は「障害者の自立に向けたモデルケースをつくりたい」と決意を述べた。

葉の繊毛を拭き取る障害者=長崎市宮崎町、三和ゆめランド(出島福祉村グループ提供)

© 株式会社長崎新聞社